チリ・コピアポ市で南米初の100%電気バス使用の新公共交通システム運用開始
(チリ)
調査部米州課
2025年10月20日
チリ北部アタカマ州の州都コピアポ市で、新しい公共交通システム「Red Copiapó」の運用が10月16日に始まった。「Red Copiapó」の特徴は100%電気バスを使用していることで、これによって同市は南米初の電動車両のみで構成する公共交通システムを有する都市となった。
「Red Copiapó」のプロジェクトは運輸通信省が推進したもので、約825万ドルが投じられた。全12路線に121台の電気バスが運行する。使用する電気バスは中国の金龍客車製だ。1日当たり2万5,000人の乗客の輸送を見込む。「Red Copiapó」ではジェンダー平等にも重点を置き、運転手の少なくとも50%を女性にする。
運用開始の初日にはアルバロ・エリサルデ内相とフアン・カルロス・ムニョス運輸通信相も現地を訪れ、バスに乗車した。ムニョス運輸通信相は「電気自動車(EV)が国内で普及し、高水準の電気バスが国の風景の一部となりつつあることをうれしく思う。国内の62%の地域で電気バスが走っていることを誇りを持って言えるようになった」と、これまでの電気バス普及の成果を述べた。チリでは既に首都サンティアゴのほか、北部アントファガスタ市や中南部コンセプシオン市などの都市で電気バスが運行している。
コピアポ市は人口17万6,000人ほどの小規模な都市だが、周辺には鉱山が多く存在するため、数多くの鉱業従事者も居住している。少なからず環境破壊と結びつきやすい鉱業のイメージが強い同市が南米で初めて100%電動車両の公共交通システムを持つことは意義深いものだろう。
(佐藤輝美)
(チリ)
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