バンス米副大統領に続き、ルビオ米国務長官がイスラエル訪問、ガザ停戦と再建に注力
(イスラエル、パレスチナ、米国)
テルアビブ発
2025年10月24日
米国のJ.D.バンス副大統領は10月22日、イスラエル・エルサレムの首相府で、ベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談し、パレスチナ自治区ガザ地区での停戦の維持や戦後の統治体制に関する協議を行った。バンス副大統領は会談前の会見
で「われわれには非常に困難な課題がある。それはハマスを武装解除し、ガザを再建して住民の生活を改善しつつ、イスラエルの友人に対する脅威を排除することだ」と述べた。「それは容易ではないが、トランプ政権として取り組むべき使命」と強調した。アラブ諸国との連携にも触れ、「歴史的な成果を目指す」と語った。
バンス副大統領(左手前から3人目)とネタニヤフ首相(右手前から2人目)の会談風景(イスラエル政府報道室提供)
国際司法裁判所(ICJ)は同日、国連総会決議79/232
に基づき、パレスチナ地域での国連やその他の国際機関、第三国の活動に関連するイスラエルの義務について、勧告的意見を発表
した。ICJは、イスラエルにはパレスチナ自治区の住民に対し、食糧や水、医療など生活必需品の供給を保証する義務があり、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)などによる人道支援を妨げず、むしろこれを促進する義務があると判断した。
一方、イスラエルの国会に当たるクネセトでは同日、パレスチナ自治区西岸地区に対するイスラエル主権の適用を定める2法案が予備読会を通過
した。バンス米副大統領は10月23日、ベングリオン国際空港で記者団に対し、クネセトでの併合に関する採決について「個人的には侮辱された気分だ」と不快感を示した。さらに、「ヨルダン川西岸地区がイスラエルに併合されることはない」と明言し、「トランプ政権の政策は、イスラエルによるヨルダン川西岸地区の併合を認めないというものだ」と述べた。これに対し、イスラエル首相府は同日に声明を発表し、「併合に関するクネセトでの採決は、バンス米副大統領のイスラエル訪問中に意図的に不和を生じさせるために野党が仕掛けた政治的挑発だ」と批判し、「(連立与党第1党の)リクード党の支持なしでは、これらの法案が今後進展する可能性は極めて低い」との見解を示した。
一方、10月23日には米国のマルコ・ルビオ国務長官がイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相と会談を行った。ルビオ長官は会談後の会見
でガザ停戦の進展について、「7〜8日で驚くほどの仕組みが構築された。良きパートナーとともに、前向きな進展を感じている」と述べた。他方、「課題も明確に認識している」と冷静な姿勢も示し、「副大統領、スティーブ・ウィトコフ特使、ジャレッド・クシュナー氏らが滞在していたことは、(米)政権がこの取り組みを最優先事項としている証左だ」と語った。
握手するルビオ長官(左)とネタニヤフ首相(イスラエル政府報道室提供)
イスラエルとハマスの衝突の詳細については、ジェトロの特集を参照。
(中溝丘)
(イスラエル、パレスチナ、米国)
ビジネス短信 3843b171cf899996




閉じる
米国の第2次トランプ政権が発表した関税措置により、賦課対象となった地域に展開する日本企業の事業運営にも影響が予想されます。