日本バングラデシュ商工会議所が日本に訪問団、大阪でセミナー開催
(日本、バングラデシュ)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年10月02日
ジェトロと大阪商工会議所は10月1日、日本バングラデシュ商工会議所(JBCCI)ミッション団の訪日を契機に、大阪でバングラデシュ・ビジネス動向セミナーを開催した。駐日バングラデシュ大使やジェトロ・ダッカ事務所長が登壇し、同国のビジネス環境や魅力について解説した。
ムハンマド・ダウド・アリ駐日バングラデシュ大使はあいさつで、同国は1億7,000万人の人口を有し、労働コストの安さを強みとして、縫製や製薬、農業・農産品加工、ITなど輸出志向の産業強化に取り組んでいると指摘した。また、「昨今はビジネスのしやすさ向上に向け、二重課税の防止や、輸出加工区・経済特区の設置、投資関連のワンストップ窓口の開設など、投資環境整備に力を入れている。数多くの日本企業が進出しており、日本とのさらなる関係強化に向け、経済連携協定(EPA)の交渉を行っているところだ」と語った。
スピーチするムハンマド・ダウド・アリ大使(ジェトロ撮影)
大阪商工会議所の森島弘光国際ビジネス委員長(丸紅執行役員大阪支社長)はバングラデシュの優位性について、安価なビジネスコスト、若年人口が多く成長が予測される市場、勤勉かつ高い語学力を有する人材の存在を挙げ、こうした強みを視察・確認するため、大阪商工会議所はジェトロとの共催で11月にダッカへ現地視察ミッションを派遣する予定と述べた。
ジェトロ・ダッカ事務所の片岡一生所長は現地進出日系企業の動向と課題について講演した。2024年時点の進出日系企業数は330社で、約10年前の1.8倍に増加しており、製造、貿易、建設、繊維・縫製、物流、エネルギー・インフラ、ヘルスケアサービス、ITなど、多様な業種で構成されていることを紹介した。進出企業の多くはバングラデシュを輸出向けの製造拠点と位置付けているが、中には、食品や衛生用品分野で現地市場向けに取り組んでいる企業もあると指摘した。また、投資環境上のメリットと課題として、人件費の安さに魅力を感じている企業が多い一方、人件費の上昇が課題となっているとも伝えた。バングラデシュの不安定な政治・社会情勢、法制度の未整備・不透明な運用、通関など諸手続きの煩雑さに苦慮している企業も多く、2026年11月に予定されている後発発展途上国(LDC)からの卒業や同年2月上旬に実施予定の総選挙が今後のポイントになると語った。
セミナーの様子(ジェトロ撮影)
このほか、同国の税制体系や各税率、税制優遇に関する説明があった。セミナー終了後にはネットワーキング交流会があり、活発な情報交換が行われた。
(齋藤寛)
(日本、バングラデシュ)
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