国家歳入庁、みなし輸出に対する付加価値税を免除、国内調達を促進

(バングラデシュ)

ダッカ発

2025年10月14日

バングラデシュ国家歳入庁(NBR)は10月9日、輸出業者による原材料とサービスの国内調達について、特定の書類を提出し規制の条件を満たせば、付加価値税(VAT)の免除の対象になると通知した。調達先となる国内企業から見れば、この取引は「みなし輸出」となる。この新たな取り組みは、バングラデシュの輸出産業の国際競争力の強化に寄与するが、とりわけ2026年11月に予定されている後発開発途上国(LDC)からの卒業による優遇廃止に備えた動きとみられる。保税蔵置場の利用者が免税輸入特権を有することから、国内での調達品に課されるVATがコスト競争力を損ねる一因になっていると指摘されてきた。国内調達比率の高い輸出向け製品の二重課税問題の解決にもつながる。

免税措置は、輸出を目的にバングラデシュ国内で調達された物品やサービスに適用される。輸出業者は、外貨建て取引の実施や、供給される物品が加工品構成明細表(Utilization Declaration)、加工品許可証(Utilization Permission)に適切に記録されていることの確認など、一定のコンプライアンス要件を満たす必要がある。また、輸出業者は、税関またはその他の認可機関によって承認された保税蔵置場または特別保税蔵置場の下で操業しなければならない。

バングラデシュ最大手の繊維業界団体であるバングラデシュ縫製品産業・輸出業協会(BGMEA)のモヒウディン・ルベル元理事は、メディアの取材に応じ、「これまで非保税の工場やサプライヤーは、輸出業者に物品やサービスを販売するために必要な煩わしい手続きに事業を阻まれてきた。今回の通知により、買い手(となる輸出業者)も手続き上の障壁を気にすることなく調達できる。輸出業者はこれまで輸入や保税供給源からの調達を余儀なくされることが多かった。これから輸出に新しい勢いがつくことを期待している」と述べた(「デーリー・スター」紙10月12日)。

(片岡一生)

(バングラデシュ)

ビジネス短信 3553c497e9dda65a