河南省、AIを活用した産業高度化に向けた行動計画を発表

(中国)

武漢発

2025年10月01日

中国の河南省政府弁公庁は9月15日、「河南省の人工知能(AI)を活用した新型工業化を加速させる行動計画(2025~2027年)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した(文書は9月5日付)。

同計画では2027年までの目標として、AI産業の規模を1,600億元(約3兆2,000億円、1元=20円、注1)以上とし、全国的に重要なAI産業の拠点や応用モデル地区を形成するとしている(注2)。主な内容は次のとおり。

  • AI導入を通じた業界ごとのデジタル化の推進:河南省が重点分野として産業集積に注力している新材料、新エネルギー車、電子・情報、先進設備、現代医薬、現代食品、現代軽紡の各業種でAI活用を推進。電子・情報産業では、AIアルゴリズムの活用を通じた生産や検査工程の効率化を図る。集積回路の仮想製造の活用など、生産工程と生産モデルのイノベーションを図る。
  • AI導入を通じた企業活動全般の最適化:研究開発、生産、経営管理、倉庫・物流、販売、安全管理の各分野を中心にAIの導入を進め、企業の競争力強化を図る。製造面では、大規模言語モデルと産業用ソフトウエアの融合を図り、「AI+」による生産計画、生産管理、欠陥検査などの新型モデルを発展させ、生産効率と製品品質を向上させる。
  • 産業園区の管理におけるAIの活用:AIを活用し、産業園区内の省エネ、排出削減の動的な管理や、設備・環境の安全管理、管理サービスの最適化を図る。
  • スマート機器、製品の開発:スマート機器、AI搭載端末、スマートソフトウエアサービスなどの分野を中心に、次世代情報技術を活用して製品のイノベーションを加速する。
  • AI産業のエコシステム最適化:企業育成、技術革新、資本活用、公共サービスなどの分野を中心に、競争力を持つ市場主体を誘致、育成し、AI産業の発展のために良好なエコシステムを構築する。AI分野の著名企業や上場企業を誘致し、グローバル競争力を備えたリーディング企業を育成する。

河南省は同プランについて、AIなどの次世代情報技術と製造業の深い融合を主軸とし、製造業の高度化、スマート化、グリーン化への転換を推進し、河南省の製造業強化とデジタル化・スマート化の実現を支えるものと位置付けている。

(注1)2024年末時点で、河南省のAI関連の重点企業は110社あり、産業規模は700億元に及ぶ。

(注2)その他、2027年までの目標として、デジタル化を先導する企業50社、AI分野のリーディングカンパニー10社、スマート生産ラインならびにスマート工場の数1,800拠点、AI関連の「専精特新企業(イノベーションの強化に向けた専門性、精巧な技術力、独自性、新規性の4点で優れた特徴を有するとされる中小企業)」100社などの具体的な数値目標を設定。

(廣田瑞生)

(中国)

ビジネス短信 2d20549205bf9f47