ガーナのマハマ大統領が訪中、経済と文化協力を強化
(ガーナ)
アクラ発
2025年10月23日
ガーナのジョン・マハマ大統領は10月11日から16日まで中国を公式訪問し、習近平国家主席および李強国務院総理(首相)との首脳会談を行った。2025年1月の大統領就任後、初めての訪中となる。首脳会談のほか、北京で開催された「グローバル女性リーダーズ会議」への参加、「大統領投資フォーラム」の開催など、外交、文化、経済の各分野で精力的に活動した。
首脳会談では、具体的な合意は発表されていないが、鉱業、エネルギー、インフラ、農業、漁業などの分野における協力強化が確認された。また、中国政府がアフラオ市場(注1)とガーナ国立劇場の改修に向けて、総額2億元(約2,800万ドル、1元=約0.14ドル)の無償資金協力を提供することを決定した。ガーナ国立劇場は1992年に中国の支援で建設された施設で、今回の改修は文化交流の再強化を意味するものだ。北京で10月14日に開催した「大統領投資フォーラム」では、中国企業、投資家に対して電気自動車(EV)産業への投資を呼びかけた。ガーナを西アフリカの電気自動車製造、組み立て拠点とする構想として、2045年までに電気自動車普及率70%を目指し、現在7カ所のみとなっている充電ステーションについても、2028年までに1,000カ所に拡大する目標を発表した。
さらに、中国が提唱する「共同発展経済パートナーシップ協定」に基づき、中国がガーナを含む外交関係を有するアフリカ53カ国に対して、100%関税品目へゼロ関税を適用する制度についても議論された。マハマ大統領はこの制度を評価し、ガーナの主要輸出品であるカカオ、金、木材、加工食品などが中国市場に無税でアクセスできることは、輸出拡大と産業育成に直結すると述べた。一方で、このゼロ関税制度によるガーナと中国の経済関係の強化は、同時に中国製品のさらなる流入などの懸念もあり、マハマ大統領はこの制度の「早期収穫措置」(注2)の合意も含めて慎重に対応する姿勢を示している。
(注1)ガーナとトーゴを結ぶ貿易プラットフォームとして計画されている。
(注2)自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の交渉の中で、特定の品目や分野で先行して関税引き下げや撤廃を行う取り決め。
(中川翼)
(ガーナ)
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