アイルランド政府、新政権初の2026年度国家予算案を発表

(アイルランド)

ロンドン発

2025年10月27日

アイルランド政府は10月7日、2026年度の国家予算案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料表1参照)。今回は2025年1月にミホール・マーティン新政権が発足(2025年2月4日記事参照)して以来、初めての予算案となる。同発表で政府は、エネルギー・水資源・住宅・交通分野の支援に重点を置き、国内外の投資に対する経済競争力の強化および雇用創出を目的とした。

2026年度の総予算額は1,178億ユーロで、前年度の予算より81億ユーロ増加した。増加額の内訳は、経常歳出に61億ユーロ、インフラ整備・地域開発を目的とした中期計画である国家開発計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(NDP、注1)に沿って資本歳出に20億ユーロだ。歳出の増加を通じて、戦略的資本インフラと公共サービスへの投資を強化しつつ、持続可能で効率的な財政運営との両立を図る姿勢を示した(添付資料表2参照)。

税制措置では、世帯向け税対策、住宅市場支援、企業・農業支援、気候変動対策支援などを重点分野に位置づける(添付資料表3参照)。

具体的には、世帯向け税対策関連では、最低賃金を65セント引き上げ、時給14.15ユーロへと設定することや、最低賃金労働者の負担回避のためにユニバーサル社会負担金(USC、注2)として2%の税率が適用される所得区分を2万8,700ユーロへと引き上げることなどがある。また、気候変動対策支援関連では、二酸化炭素(CO2)排出量1トン当たりに適用される炭素税率を7.5ユーロに引き上げ、税率は1トン当たり71ユーロとなる(注3)。増税分は、10月8日からガソリン・自動車用軽油に適用され、その他の燃料には2026年5月1日から適用される予定だ。

(注1)政府は2025年7月に改定版NDPを発表。アイルランド史上最大規模のインフラ投資計画として、2035年までに2,754億ユーロの投資を見込む。このうち1,024億ユーロは2030年までの5年間で投資される予定で、各セクターの2030年までの歳出計画が2025年11月中に公表される見通し。

(注2)従業員の総所得に対して課される税。

(注3)炭素税は2029年までの毎年度予算で同額ずつ引き上げられ、2030年には1トン当たり100ユーロに達する見込み。

(バリオ純枝)

(アイルランド)

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