山東省、商業航空宇宙分野の補助金政策を発表、海上打ち上げや液体燃料ロケット試験を推進

(中国)

青島発

2025年10月27日

中国の山東省政府は10月10日、「山東省の商業航空宇宙産業の質の高い発展を推進する若干の措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に関する政策説明会を開催し、同省における商業航空宇宙分野の発展状況を紹介した。説明によると、同省ではロケット・衛星製造、ロケット打ち上げ、衛星応用などをカバーする産業体系が形成されている。

本措置は、商業航空宇宙産業チェーンに焦点を当て、ロケット・衛星の研究開発製造、データ開発応用、新素材、部品、集積回路など宇宙関連サプライチェーン分野における技術革新、人材誘致、企業育成などの面で支援を提供するものとなっている。

本措置では、山東省の2つの強みである「海上打ち上げ」と「液体燃料ロケット試験」を強化することが明記されている。関連産業の奨励政策としては、海上打ち上げプロジェクトに対して、関連保険料の35%以内の割合で、各プロジェクト当たり最高300万元(約6,300万円、1元=約21円)の保険補助金を支給する。また、「航空宇宙応用+ビッグデータ+人工知能(AI)」の統合発展を推進し、条件を満たす関連シーンと製品に対して、それぞれ500万元以内と100万元以内の奨励金を支給する。加えて、商業航空宇宙産業チェーン全体の発展を支援するため、毎年、重要な技術の競争力を持つ商業航空宇宙関連企業を育成・選定し、各社に最高100万元の奨励金を支給する。このほか、航空宇宙に関する科学技術成果の実用化を奨励し、条件を満たせば、最高50万元の融資利子補助を行う。

山東省政府の説明によると、同省は、省内でこれまで19回の海上打ち上げを行い、127基の衛星を予定軌道に投入した実績がある。海上打ち上げの能力と頻度において全国でトップレベルを維持している。また、ロケット製造分野では、3種の固体燃料ロケットと2種の液体燃料ロケットのプロジェクトが実施されている。さらに、衛星産業分野では、累計で96基の衛星を打ち上げた。その他の関連分野では、インテリジェントセンサー、高性能炭素繊維、高性能固定具など現地企業の製品が航空宇宙分野に広く活用されているとされている。

山東省は今後、商業航空宇宙分野で、ロケット回収利用などコア技術の研究開発を加速させ、中国独自の衛星測位システム「北斗」のナビゲーションシステムを活用し、リモートセンシング、通信衛星を合わせて全省を覆う空・天・地・海一体化感知システムを構築し、応用シーンを拡大し、交通・物流、農業・林業・畜産・水産分野と深く融合して発展させることを目指していると説明している。

(董玥涵)

(中国)

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