インドで模倣品対策強化に向け真贋判定セミナー開催

(インド、日本)

知的資産部知的財産課

2025年10月21日

ジェトロが事務局を務める国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注)は924日、インド北部ハリヤナ州グルグラムで、地元警察職員を対象とした真贋(しんがん)判定セミナーを開催した。このセミナーは模倣品対策の強化を目的に、日本企業と現地機関との連携を図る取り組みの一環として、エンフォースメント(法執行)機関の職員に対し、日本企業の製品の真正品と模倣品の判別手法(真贋判定手法)を説明するものだ。

写真 真贋判定セミナーで企業の発表(ジェトロ撮影)

真贋判定セミナーで企業の発表(ジェトロ撮影)

インドでは近年、インターネット上で模倣品流通が急増しており、EコマースやSNSを通じた販売が知的財産権侵害の新たな温床となっている。さらに、消費者の価格志向やブランド認知の低さが模倣品購入を助長しており、若年層や都市部を中心に被害が広がり、課題となっている。

インドの経済や消費者、インド進出日系企業にとって、知財権に基づく模倣品対策は重要だ。また、現地税関や警察などの法執行機関による模倣品の摘発は模倣品の流通抑止に非常に有効な一方、真贋判定の難易度は高く、知財権の権利者からの情報共有などの協力が欠かせない。

今回のセミナーには警察職員約90人が参加し、日本の本社や現地日系企業の7社(セイコーエプソン、ヨネックス、クボタ、キヤノン、カシオ計算機、ホンダ、パナソニックインダストリー)の知財・法務担当者が製品の真贋判定手法や模倣品対策の説明を行った。また、実物の展示も行い、日系企業が真正品と模倣品の見分け方について説明した。グルグラム警察のカレン・ゴエル西地区副警察長は「違法な取引はインドの経済と消費者の安全を脅かしている。グルグラム警察は模倣品取引や密輸に対して積極的に取り組み、全面的に協力する」と述べ、今後の協力に向けた姿勢を示した。

写真 企業担当者(右)による真贋手法の説明(ジェトロ撮影)

企業担当者(右)による真贋手法の説明(ジェトロ撮影)

IIPPFはまた、9月22~25日にインド特許庁商標局、インド商工会議連盟(FICCI)、消費者庁とも意見交換を実施し、23日にはデリー税関に対しても同様のセミナーを開催した。日本企業の参加者からは、「普段はコンタクトできないインドの省庁関係者とコミュニケーションを図ることができた。今後のさらなる連携に期待する」との声が寄せられた。

(注)IIPPFは2002年4月、模倣品・海賊版など海外での知財権侵害問題の解決に意欲のある企業・団体によって設立され、9月現在で約300団体・企業が参加している。IIPPFを構成する地域・分野別の各プロジェクトでは、海外の政府機関や専門家との意見交換会などを実施している。

(井上真琴)

(インド、日本)

ビジネス短信 16ce4d35aa2736a5