DHLなどグローバル物流企業によるアフリカへの投資加速
(ドイツ、アラブ首長国連邦、アフリカ、セネガル、コンゴ民主共和国)
ヨハネスブルク発
2025年10月21日
ドイツポスト傘下の物流大手DHLは10月15日、サブサハラ・アフリカ全域での物流事業の拡大・強化に、3億ユーロ超を投資すると発表した。同社は今後数年間にわたり、電子商取引(EC、Eコマース)や生鮮食品、エネルギー、ライフサイエンス、ヘルスケアなどを主要分野として、コールドチェーン強化などに投資を行っていく。
同社の「グローバル・コネクテッドネス・トラッカー」(注)によると、サブサハラ地域では2025年上半期の貿易額がドルベースで前年比10%増となり、北米地域(7%増)、中南米・カリブ海地域(5%増)を抑え、世界全地域の中でトップとなった。DHLエクスプレス最高経営責任者(CEO)のジョン・ピアソン氏は「アフリカは貿易の道のりで極めて重要な局⾯を迎えている。世界的な不安定さにもかかわらず、アフリカは回復力と勢いを維持している。今回の投資は、アフリカの今後の発展への信頼と、包摂的な成長をもたらす貿易フローの実現に向けたわれわれのコミットメントを反映するものだ」と述べている。
DHL以外にもさまざまなグローバル物流企業がアフリカ投資を加速させている。デンマークに本拠を置く世界有数の海運物流企業APモラー・マースクは2025年4月、セネガル国内と西アフリカでの物流を強化するため、セネガルの首都ダカールに1万平方メートルの物流ハブを開設した。
アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの港湾運営会社DPワールドは同年5月、コンゴ民主共和国のバナナでの港湾開発や、セネガルのンダヤンでの港湾開発を進めていることを発表している。加えて、8月には横浜市での第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の際に、伊藤忠商事とサブサハラ地域での戦略的協業に関する覚書(M0U)を締結し、車両や物流関連サービス、日用品・食品の卸売事業などの分野で協議を進めている。
こうした動きは、アフリカの経済発展と世界での競争力強化を目的としたアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の狙いとも一致している。
(注)DHLとニューヨーク大学(NYU)が開発し、貿易、資本、情報、人的資源の流れが世界各地でどのように推移しているかを詳細に追跡したデータ集。
(多崎央、トラスト・ムブトゥンガイ)
(ドイツ、アラブ首長国連邦、アフリカ、セネガル、コンゴ民主共和国)
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