OASESが新たな戦略企業発表、香港の戦略的誘致が100社以上に
(香港)
香港発
2025年10月21日
香港政府の香港戦略企業誘致室(OASES)は10月9日、香港に新たに進出または事業拡大を行う戦略企業を公表した。
OASESは、ライフ・ヘルステクノロジーや人工知能(AI)・データサイエンス、フィンテック、先進製造技術、新エネルギーなどの分野を戦略分野に、また、これらの分野で重要なプレーヤーとなる企業を戦略企業と位置づけ、香港への誘致を積極的に行っている。既に香港に拠点がある企業に対しては、研究開発などの事業拡大を提案し、香港のイノベーションエコシステム構築に寄与している。
5回目となる今回の発表では、2022年のOASES発足後の累計誘致件数が100社を超え、これらの企業が総額約600億香港ドル(約1兆1,400億円、1香港ドル=約19円)の投資を行い、約2万2,000人の雇用機会を創出する見込みとした。
今回は、世界有数の製薬会社ロシュ(本社:スイス)、メルク(本社:ドイツ)、グラクソ・スミスクライン(本社:英国)の3社が事業拡大を発表した。ロシュは、広東・香港・マカオグレーターベイエリア(GBA:粤港澳大湾区)内の公立病院で香港登録の医薬品や医療機器を使用できる制度などの政策措置が好条件の市場アクセスを提供していると評価した。グラクソ・スミスクライン(GSK)も、香港のGBAでのポジションが中国本土との接続拠点として理想的で、この利点を生かして医薬品登録の拡大やビッグデータを活用した市場へのアクセス、さらには地元の研究機関や大学との連携強化を目指していると述べた。また、ケンサナヘルス(本社:カナダ)は、新規で香港拠点を設立することを決定した。
これら製薬会社のほか、今回の予算で初めて戦略分野に加えられた文化・クリエーティブ企業の誘致では、世界的影響力を持つ新興メディアプラットフォームのボバイルグループ(本社:米国)の事業拡大も発表されるなどの成果も見られた。
(平井志穂)
(香港)
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