ムンバイ新国際空港が開業、年内運航開始へ、当面は従来空港の利用継続
(インド)
ムンバイ発
2025年10月16日
インドのムンバイ都市圏に新たな国際空港「ナビ・ムンバイ国際空港(Navi Mumbai International Airport:NMIA)」の第1期が10月8日、正式に開業した。開業式典にはナレンドラ・モディ首相らが出席し、同空港を「インド経済発展の象徴」と位置づけた。運営は新興財閥アダニ・グループ傘下のアダニ空港ホールディングスが担う。
NMIAはムンバイ中心部から約35キロに位置し、既存のチャトラパティ・シバージー・マハラジ国際空港(「ムンバイ空港」)の混雑緩和を目的に建設された。第1期では滑走路1本とターミナル1棟を整備し、年間2,000万人規模の処理能力を備える。将来的には段階的な拡張により、年間9,000万人規模への能力拡大を目指す計画だ。立地面ではジャワハルラール・ネルー港(ナバ・シェバ港、JNPT)やムンバイ~プネ間に広がる工業地帯に近接し、航空貨物と港湾物流を結ぶ拠点としての役割が期待される。
現地報道によると、商業運航の開始は2025年12月が見込まれている。地場大手航空会社インディゴ(IndiGo)が初日から1日に18便運航する予定で、18カ月以内に同140便規模への拡大を計画している。また、新興航空会社アカサ・エア(Akasa Air)も、冬期スケジュールで週300便超の国内線と週50便超の国際線を運航する方針を示している(「インディアン・エクスプレス」紙10月9日)。ただし、国際線の本格運航には一定の時間を要し、当面は日本企業関係者を含むビジネス渡航者や旅行者の多くが従来のムンバイ空港を利用することになる。
なお、現在はナビ・ムンバイ国際空港へのアクセス手段は道路に限られており、近郊鉄道の延伸や空港間を結ぶメトロ路線などの整備計画は示されているものの、実現には時間を要する。そのため、初期段階では旅客利用よりも、JNPT港に近い立地を生かした貨物輸送での活用が先行すると予想される。
モディ首相は式典で「新空港は国際投資を呼び込み、マハーラーシュトラ州の農産物を世界に届ける新たな拠点になる」と述べ、国際物流や地域経済の発展に期待を寄せた。全面開港の時期は明確にされていないが、第2期工事として滑走路やターミナル拡張が予定されており、都市圏の成長戦略で重要なインフラとなることが確実視されている。
(篠田正大)
(インド)
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