農林水産省、南アと農業分野におけるMOIを締結

(南アフリカ共和国、日本)

ヨハネスブルク発

2025年10月06日

日本の農林水産省は9月18日、南アフリカ共和国農業省との間で「農業分野における協力のための意向表明書(MOI)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を締結した。ケープタウンで開催されたG20農業大臣会合およびG20食料安全保障大臣会合に出席した滝波宏文農林水産副大臣は、両会合後に、ジョン・スティーンヘイゼン南ア農業相と会談を行い、その際にMOIの締結を行った(9月21日付農林水産省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

両国は、次の分野で相互協力を強化するとしている。

  1. 小規模農家の開発に関する協力
  2. 農産物貿易の促進
  3. 相互利益のための穀物の安定供給を含む食料安全保障
  4. 食品加工、家畜および作物の生産、知的財産権およびその他関連する事項の情報交換
  5. 試験要員の交流または訓練および植物品種保護制度に関する情報交換を含む植物品種の試験に関する協力
  6. 両参加者が相互に決定するその他の関連する関心分野

具体的に実施する内容としては、情報交換、技術視察、研修、シンポジウムなどがあげられている。

G20農業大臣会合では、持続可能な農業生産やイノベーションの活用、包摂的な市場参加の促進などについて議論が行われ、議長国の南アから「G20農業大臣成果文書および議長サマリー」が発出された。一方、G20食料安全保障大臣会合では、食料価格の高騰と変動への対応策や食料安全保障を強化するための協調確保について議論が行われ、「G20食料安全保障タスクフォース宣言」と「食料安全保障および栄養、ならびに過剰な食料価格の変動に関するウブントゥ・アプローチ(注1)」が採択された。

両会合に参加した滝波農林水産副大臣は、食料安全保障の確保における国内の農業生産強化の重要性や、持続可能性との両立の必要性について主張した。加えて、2025年8月に開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)において、G7宮崎農業大臣会合(注2)で立ち上げた「民間セクター・小規模生産者連携強化(ELPS)」イニシアチブの第2号案件として、ルワンダにおける「マカダミアナッツのバリューチェーン強化プロジェクト」を立ち上げたことを報告した。

(注1)アフリカの哲学で「他者への思いやり」「皆があっての私」を意味する。

(注2)G7広島サミットの開催に先立ち、2023年4月に宮崎県で開催された会合

(多崎央)

(南アフリカ共和国、日本)

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