日本発スタートアップ2社が初優勝、公立病院で実証機会

(シンガポール)

シンガポール発

2025年10月03日

シンガポール公立病院系列機関のセンター・フォー・ヘルスケア・イノベーション(CHI)が毎年開催する「CHISEL ヘルスケア・イノマッチ2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の最終ピッチ大会が9月26日、開催された。同大会はヘルスケア分野の先端技術企業を選出するもので、内視鏡の画像診断技術を持つAIメディカルサービス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(AIM、本社:東京都豊島区)と、脳卒中患者のリハビリ支援技術を持つLIFESCAPES外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ライフスケープス、本社:東京都港区)が優勝企業5社のうちの2社に選ばれた。2025年で5回目となるヘルスケア・イノマッチで、日系スタートアップが優勝するのは初めて。

今回のヘルスケア・イノマッチのテーマは、「未来のデジタルヘルスケアの構築」。患者に寄り添ったケアを病院の内外で提供するための人工知能(AI)などデジタルソリューションを持つ、スタートアップを含む中小企業を公募した。優勝した企業は公立医療機関の3つのクラスター(注)のいずれかとマッチングの上、実証機会が与えられるほか、30万~50万シンガポール・ドル(約3,450万~5,750万円、Sドル、1Sドル=約115円)の資金が提供される。実証事業が成功した場合には、公立病院での導入機会も与えられる。

写真 CHISELヘルスケア・イノマッチ2025での優勝を喜ぶLIFESCAPESの林正彬取締役(左端)とAIメディカルサービスの瀬川泰司代表取締役社長(中央)(ジェトロ撮影)

CHISELヘルスケア・イノマッチ2025での優勝を喜ぶLIFESCAPESの林正彬取締役(左端)とAIメディカルサービスの瀬川泰司代表取締役社長(中央)(ジェトロ撮影)

今回は、62カ国から538社が応募し、10社が最終ピッチ大会に進出した。優勝したAIMは、公立病院グループのシングヘルス(SingHealth)との実証を行う。AIMは2017年に創業。同社が開発したAIを活用した内視鏡画像診断ソフトウエアは、早期の胃がんを発見することを可能にする。

また、ライフスケープスは、シンガポール国立大学ヘルスシステム(NUHS)と組んで実証を行う予定だ。同社は、脳と機器をつなぐブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)技術を活用して、脳卒中後に腕や手がまひした患者の機能回復を支援している。林正彬取締役最高戦略責任者(CSO)は優勝発表後、「勝負する時が来た」とシンガポールでの実証機会への抱負を述べた。

同2社のほか、骨粗しょう症診断技術を有する16ビット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(16 bit、本社:カナダ)、患者への負担が少ない心不全管理機器を開発したアコライ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Acorai、本社:スウェーデン)、手の震えを軽減、安定化する技術を開発したジャイロギア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(GyroGear、本社:英国)の3社が優勝企業に選ばれた。

(注)シンガポールの公立病院や専門病院、診療所は、地域ごとに3つの医療クラスターが運営。西部はシンガポール国立大学ヘルスシステム(NUHS)、中部がナショナル・ヘルスケア・グループ(NHG)、東部をシングヘルス(SingHealth)が担っている。

(本田智津絵)

(シンガポール)

ビジネス短信 100ee88d440f67da