コンテナ港パフォーマンスでエジプトのポートサイード3位、モロッコのタンジェ5位
(中東、アフリカ、アラブ首長国連邦、エジプト、モロッコ)
調査部中東アフリカ課
2025年10月09日
世界銀行は9月22日、世界のコンテナ港のパフォーマンスに関する報告書「The Container Port Performance Index(CPPI)2020 to 2024」を発表した。CPPIは船の位置情報などのデータを使い、寄港船の沖待ちも含んだ入港から離岸までの総滞在時間などからコンテナ港の効率性を評価した指標だ。
同報告書によると、2020年から2024年にかけて、新型コロナ禍の物流の混乱、紅海情勢の悪化、気候変動によるパナマ運河の水不足などの影響により、世界の港湾パフォーマンスは低下した。特に中東地域においては、2024年に地域の紛争や紅海情勢の悪化などにより、海上輸送の混乱や迂回などが発生し、地政学的な出来事に対して物流・サプライチェーンが脆弱(ぜいじゃく)であることを浮き彫りになった。他方、エジプトのポートサイード港など5年で効率性が大幅に改善したコンテナ港もあった。なお、改善を見せた港湾は、停泊時間の短縮、積み下ろし作業の最適化、デジタル化への投資、物流パートナー間の連携強化などによって成果を上げたという。
世界403港のうち、2024年のコンテナ効率性で1位(前年も同順位)は上海の洋山深水港だった。中東北アフリカ(MENA)地域ではエジプトのポートサイード港が3位(前年16位)で最高、次いでモロッコのタンジェメッド港が5位(前年3位)だった。前年2位のオマーンのサラーラ港は15位だった。中東では貨物取扱量が最多で、多くの日本企業が利用しているアラブ首長国連邦(UAE)ドバイのジュベリ・アリ港は、2024年時点では中東情勢悪化などで物流の混乱もあり262位に後退していた(前年49位)。一方、UAEアブダビのハリーファ港は68位だった(前年29位)。なお、日本では横浜港が16位(前年9位)にランクインした。
中東北アフリカでの2024年の上位10位は次のとおり。
- 3位:エジプト、ポートサイード港
- 5位:モロッコ、タンジェメッド港
- 11位:カタール、ハマド港
- 15位:オマーン、サラーラ港
- 36位:サウジアラビア、ジェッダ港
- 43位:ヨルダン、アカバ港
- 45位:トルコ、デリンス港
- 48位:オマーン、ソハール港
- 53位:サウジアラビア、キング・アブドゥッラー港
- 54位:レバノン、ベイルート港
同報告書では、海上輸送が世界貿易量の80%以上を占めており、港湾のパフォーマンスは貿易のコストや信頼性、サプライチェーンにも影響するため、各国の経済や港湾の持続可能な発展にとって重要としている。
(井澤壌士)
(中東、アフリカ、アラブ首長国連邦、エジプト、モロッコ)
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