山東クリーンエネルギー博が煙台市で開催、水素・蓄電などの技術の実証進む

(中国)

青島発

2025年09月29日

2025年山東クリーンエネルギー産業博覧会が9月15日、中国の山東省煙台市で開催された。同博覧会には、国家電力投資、中国華能、中国核工業、国家能源などの中央国有エネルギー企業に加え、濰柴グループ(注1)、中国重型汽車、通威などの完成車・装備製造分野の大手企業が出展した。同展覧会では風力発電や太陽光発電、原子力、水素、蓄電、新型パワーシステム、スマートグリッドなどの先端技術や設備が展示され、クリーンエネルギーの生産から応用までの全産業チェーンに及ぶ企業が出展した。

会期中には、「中国の低炭素エネルギーと新型パワーシステム技術設備」「原子力発電の安全性と産業チェーンの発展」「リチウム電池による蓄電と太陽光発電産業の発展」「風力エネルギーと海上エネルギーの開発強化」などをテーマにフォーラムや企業交流会が併催され、研究成果と実践経験が共有された。

低炭素エネルギーと新型パワーシステム技術設備フォーラムでは、濰柴グループが国家燃料電池技術イノベーションセンター(注2)の最新状況を報告した。報告によると、同センターでは最大出力300キロワットの燃料電池エンジンを開発し、効率・冷起動温度・耐用年数などで世界の競合製品に比べて優位性を示した。

また、同センターでは、水電解によるグリーン水素製造や高密度水素貯蔵、安全ソリューションの研究も推進している。報告によると、同センターが主導する「水素進万家」科学技術モデルプロジェクトは、水素ステーションの高速道路への設置、港湾における水素の利用、水素工業園区、水素利用住宅団地などの構築を目指し、水素パイプラインにより輸送や交通・工業・民生での利用を進め、中国での水素エネルギーの普及に貢献している。

このほか、フォーラムでの報告によると、現在の成果として、青島港が中国初の全面的な水素エネルギー利用港となり(2024年7月4日記事参照)、2025年6月には世界初の7,000馬力水素燃料電池とリチウム電池のハイブリッドタグボートが運用開始された。また、山東省内では低コスト・高効率で安定した水素供給システムを展開しており、1日当たりの供給能力は16トンに達したという。さらに、国内初の都市水素輸送パイプラインを建設し、沿線の住宅団地に水素エネルギーの供給を行っている。これにより、同省では100社以上が水素エネルギー分野に参入し、水素充填ステーションを49カ所(全国3位)設置し、燃料電池車両を2,200台以上(全国6位)導入している。

また、リチウム電池による蓄電と太陽光発電産業の発展フォーラムでは、中国送電大手の国家電投が「太陽光発電+産業」の複合モデルを紹介した。同社は、「農光・畜光・漁光互補(注3)」のプロジェクトを各地で展開し、土地資源の有効利用とグリーンエネルギー発電に貢献している。

(注1)山東省に本拠地を置く産業機器のグローバル企業。

(注2)同センターは中国科学技術部の承認を受け、大型トラック用エンジンの大手メーカー潍柴パワー(潍柴グループ傘下)が清華大学、中国科学院などと連携して設立した国家級科学研究機関。燃料電池の研究開発と産業化応用を推進している。

(注3)農業・畜産・漁業と太陽光発電の相互補完モデル。農地や牧草地、畜舎の屋根、養殖池上に太陽光発電パネルを設置する。

(董玥涵)

(中国)

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