8月も物価上昇率は前月比1.9%にとどまる、9月は加速の見通しも
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2025年09月22日
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は9月10日、消費者物価指数(CPI)の8月の上昇率が全国平均で前月比1.9%だったと発表した。7月と同水準となり、4カ月連続で2%台を下回った(添付資料図参照)。前年同月比(年率)は33.6%で、16カ月連続で減速した。2025年1~8月の累計では19.5%上昇し、2020年同期以来の低水準となった。7~8月の2カ月間で対ドル公式為替レートが約10%下落したため、これがCPIの押し上げ要因となることが懸念されたが、物価の安定は持続した。
8月の前月比の上昇率を項目別にみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスがマイナス0.8%(前月は4.1%)、エネルギーや公共サービスなどの価格が規制されている財・サービスは2.7%(同2.3%)、季節変動要因のある品目を除いたコアインフレ率は2.0%(同1.5%)だった。
前月比の上昇率を費目別に見ると、衣類・靴類が前月比0.3%減で、2カ月連続の減少となった。現地エコノミストらは、消費が冷え込んでいることに加えて、季節の変わり目を迎えて行われている特価販売が価格上昇を抑制する要因となっているとしている。しかし、外食・ホテル(3.4%)、酒類・たばこ(3.5%)、交通(3.6%)など、平均上昇率を上回る費目もあった(添付資料表1参照)。
ジェトロが独自に調査した首都ブエノスアイレスの9月15日時点の品目別の物価をみると、9月に入っても物価は比較的に安定しているようだ(添付資料表2参照)。
9月14日付現地紙「インフォバエ」(電子版)は、9月のCPI上昇率の見通しは2.0~2.4%と、これまでに比べて加速するとの現地エコノミストら見方を伝えた。その主な原因は、対ドル公式為替レートの下落が続いていることや、9月7日に実施されたブエノスアイレス州の州議員選挙で正義党(ペロン党)の得票率がハビエル・ミレイ大統領率いる自由前進(LLA)を予想以上に上回ったことや、10月26日に実施予定の国会議員中間選挙を前に政治経済の先行き不透明感が増していることなどを挙げている。しかし、賃金の伸び悩みや消費意欲が冷え込み、輸入品の増加による競争激化により、これ以上の売価の引き上げは現実的ではないため、9月のCPI上昇率は2%台前半にとどまるとしている。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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