コートジボワール大統領選、野党第1党の意見分かれる
(コートジボワール)
アビジャン発
2025年09月01日
2025年10月に予定されているコートジボワール大統領選挙に向けて、野党第1党であるコートジボワール民主党(PDCI)では、党首ティージャン・ティアム氏を候補として擁立するか、実業家で元商務相のジャン・ルイ・ビヨン氏に切り替えるかをめぐって意見が分かれており、党内の結束が揺らいでいる。
ティアム氏は欧米の金融業界で高い評価を受けており、党内でも根強い支持を集めているが、フランスとの二重国籍問題により選挙人名簿から抹消されている(ポリティーク5月7日付報道)。ティアム氏の立候補が不透明な状況を受け、政権獲得に向けたプランBとしてビヨン氏の擁立を支持する声が高まった。
8月19日には、18の政党・団体が結集して新たな政治連合「民主主義会議(CODE)」が発足し、ビヨン氏への支持を正式に表明した(フラマト・インフォ8月25日付報道)。CODEは、民主主義と社会正義を掲げ、全国規模での選挙運動を展開する方針を示した。
PDCIは引き続きティアム氏を擁立するのか、それとも法的に確実な候補であるビヨン氏に切り替えるのかという難しい判断を迫られた。党内では、ティアム氏への忠誠心が根強い一方で、選挙直前の失格リスクを回避したいという声もあり、政治評論家の間では、ビヨン氏の立候補は「党内の分裂を招く可能性がある賭け」との見方も出ている(フラマト・インフォ8月21日付報道)。その意味で、ビヨン氏の立候補は単なる大統領職への挑戦にとどまらず、PDCI党内の権力闘争にも深く関わる動きといえる。
8月24日には、PDCIはティアム氏を党唯一の候補として正式に発表し、立候補書類を提出した(アビジャン・ネット8月24日付報道)。この届け出が受理されれば、ティアム氏は野党第1党PDCI、ビヨン氏は新政治連合CODEの支持を受け、それぞれ大統領選に挑むこととなる。
ティアム氏はすでにフランス国籍を離脱し、コートジボワール国籍証明書を取得しているが、選挙人名簿登録時点でフランス国籍を保持していたことを理由に、裁判所は抹消の判断を維持している(フラマト・インフォ4月22日付報道)。ティアム氏の立候補が正式に認められるかどうかは、今後、憲法評議会の判断に委ねられる。
(安藤佳耶)
(コートジボワール)
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