ジェトロ、大阪で米国中西部セミナー開催

(米国、日本)

シカゴ発

2025年09月17日

ジェトロは9月10日、大阪市で米国中西部セミナーを開催し、日本企業など58社・団体、64人が参加した。同セミナーはジェトロと米国中西部日米協会(MWJA)、大阪商工会議所の共催、在大阪・神戸米国総領事館商務部の後援により実施された。米国中西部5州(イリノイ、カンザス、ミシガン、オハイオ、ウィスコンシン)の代表者が各州の魅力と最新の産業動向を紹介し、各州政府と日本企業が交流する機会となった。

開会あいさつでは、ジェトロ大阪本部の庄秀輝本部長が「中西部地域は米国の製造業と農業の心臓部で、日本との経済関係を深化させる上で欠かせない存在」と述べた。続いて登壇したMWJAのゴードン・ドビー米国側会長は「長年培われてきた日米の信頼関係を基盤に、新しい協力の可能性をさらに広げていきたい」と期待を示した。基調講演では、ジェトロ・シカゴ事務所の中川崇所長が「米国中西部の概況と最新のイノベーショントレンド」をテーマに、自動車を中心とする製造業や物流、農業、再生可能エネルギー分野での競争力や、大学やアクセラレーターを中心とした新産業の台頭を紹介した。

各州の代表者によるプレゼンテーションでは、多様な地域特性と強みが示された。イリノイ州からは同州経済開発公社のクリスティ・ジョージ最高経営責任者(CEO)が登壇し、シカゴを中心とする金融や物流、製造業の厚みを紹介した。カンザス州商務省のローラ・ロンバード国際部長は、農業に加え、航空宇宙やバイオ、再エネ分野の新たなビジネス機会を強調した。ミシガン州経済開発公社のアマンダ・アイスブレンナー氏は、電気自動車(EV)を含む自動車分野の日米協力や人材確保の取り組みを紹介し、オハイオ州経済開発公社(ジョブズ・オハイオ)のジャスティン・コーチャー・シニアディレクターは、製造業再生や航空宇宙分野の拡大について言及して、ホンダなど日系企業の投資事例を取り上げた。ウィスコンシン州経済開発公社のサム・リッカーズ最高執行責任者(COO)は、食品加工やバイオ分野でのイノベーションに触れるとともに、キッコーマンやコマツの地域社会への貢献を紹介した。セミナー後はネットワーキングが行われ、参加者は各州代表者と交流した。

参加者からは、「中西部の産業クラスターの多様性を横並びで比較でき、地域ごとの特性を効率的に理解できた」「米国の関税が引き上げられる中で、自動車などの工業製品や農産物に対する各州の反応をネットワーキングで直接聞くことができたのは有益だった」との声が聞かれた。米国の「ハートランド」と呼ばれる中西部は製造や物流、農業の現場を多く抱えており、近年はそうした現場を起点としたイノベーションにも注目が集まっている。

写真 ウィスコンシン州のプレゼンを聞く参加者(ジェトロ撮影)

ウィスコンシン州のプレゼンを聞く参加者(ジェトロ撮影)

(井上元太)

(米国、日本)

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