プラボウォ大統領が国連総会で初演説、インドネシア大統領の現地登壇は11年ぶり
(インドネシア)
ジャカルタ発
2025年09月29日
インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は9月23日、米国ニューヨークの国連本部で開催された第80回国連総会の一般討論演説に登壇した。大統領就任後初となる国連総会での演説であり、インドネシア大統領による直接の登壇は、2014年のスシロ・バンバン・ユドヨノ元大統領の演説以来11年ぶりだった。大統領府は9月23日付のプレスリリースで、ブラジル、米国に続く3番目という異例の早い順番で登壇したことを強調した(注)。
演説では、植民地支配の歴史や独立闘争に触れ、人種、宗教、国籍を超えた人類の平等と連帯を強調した(9月23日付国連ウェブサイト)。独立初期に支援を受けた経験を踏まえ、国際機関の役割を評価したほか、国連平和維持活動への積極的貢献を誓い、「必要ならガザなどに2万人以上の兵士を派遣する用意がある」と述べた。また、パレスチナとイスラエルの紛争については、双方の安全を尊重する二国間解決が唯一の道だと強調した。国内では食料安全保障に関してコメの自給を達成したこと、再生可能エネルギーへの転換や2060年までのネットゼロ目標をあらためて掲げ、森林劣化の抑制や海面上昇対策などに取り組む方針を示した。
インドネシア商工会議所(KADIN)マクロ・ミクロ経済政策分析担当副会長で経済学者のアビリアニ氏は、「国連総会での演説はプラボウォ大統領の国際舞台における地位を高めた。さらに、インドネシアを世界的な投資や協力を呼び込む上で有利な戦略的位置に押し上げた」と肯定的に評価した(「アンタラ」9月25日)。一方、インドネシア経済法律研究センター(CELIOS)のジャヤ・ダルマワン研究員は、「2018年以来、稲作耕地面積およびコメ生産量が減少しているため、コメ自給の主張は疑問視されるべきだ」とした(「テンポ」9月25日)。
(注)1955年以降、慣例的に開会演説を務めるブラジルが1番目、開催国である米国が2番目、インドネシアが3番目に演説を行った。これまでで最も早い登壇順は、ユドヨノ元大統領(2014年、直接登壇)とジョコ・ウィドド前大統領(2020年、オンライン登壇)の16番目だった。
(八木沼洋文)
(インドネシア)
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