2025~2026年の世界のリチウム市場、価格上昇の予測

(チリ、世界)

調査部米州課

2025年09月22日

チリ銅委員会(COCHILCO)は9月4日、2025~2026年のリチウム市場予測のレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。それによると、2025年の世界のリチウム供給量は炭酸リチウム換算で144万3,000トン、需要量は134万トンで、10万3,000トンの供給過剰になる見込みとしている(添付資料表参照)。2026年は需要、供給ともに拡大するものの、6万トンの余剰が発生する予測だ。

この供給過剰により、リチウム価格は2023年以降、顕著に下落している。電気自動車(EV)のバッテリー産業によって需要が高まっているにもかかわらず、供給過剰となる背景として、不確実なマクロ経済や地政学リスク、米国のEV補助金終了、アフリカなどの新たな供給国の台頭などもあるとしている。しかし、7月に中国の蔵格鉱業がリチウム生産を停止したことから、価格は上昇に転じている。2026年の予測としても、アジアのCIF価格は1トン当たり炭酸リチウムで1万327ドル、水酸化リチウムで1万920ドルとなっており、8月27日までの最高値を上回っている。一方で、この価格上昇が持続するかは、操業停止の期間や生産者の規模に左右されるだろうとも述べている。

今後の見通しとしては、エネルギー転換が進む中で、EV産業はリチウム市場の主要な牽引役であり続け、世界のEV販売台数は2025年に前年比23.9%増、2026年には14.7%増を記録するという予測を示している。一方で、中国製EVやバッテリー、原材料への関税賦課はコスト上昇を招き、EVの普及ペースを鈍化させる可能性があるとも指摘している。

なお、チリのリチウム生産量は2024年に炭酸リチウム換算で29万6,908トンを記録した。2025年は30万トン、2026年には30万500トンと微増が見込まれている。

(佐藤輝美)

(チリ、世界)

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