米上院、運輸省管轄の3機関の新長官承認
(米国)
ニューヨーク発
2025年09月22日
米国連邦議会上院は9月18日、運輸省の管轄下にある連邦道路局(FHWA)、道路交通安全局(NHTSA)、パイプライン・危険物安全局(PHMSA)の長官人事について、一括での投票結果(51対47)を受けて承認した。ドナルド・トランプ大統領の任命を経て、正式に就任する。
上院が今回承認したのは、FHWAのショーン・マクマスター氏、NHTSAのジョナサン・モリソン氏、PHMSAのポール・ロベルティ氏の3人で、運輸省のショーン・ダフィー長官は、3人が米国のインフラ再建や交通安全、エネルギー輸送の強化に貢献するとし、トランプ大統領の交通・運輸政策の推進に期待を示した。
ロイターの報道(9月18日付)によると、NHTSA長官に就任するモリソン氏は第1期トランプ政権時に同局の主任顧問を務めて、実務レベルで安全評価に関与し、その後はアップルに弁護士として勤務していた。今回の就任により、テスラのバッテリー式電気自動車(BEV)「モデルY」の不具合に関する調査を監督することになる。
今回の人事について、自動車業界団体も歓迎の意を示している。米国自動車イノベーション協会(AAI)のジョン・ボゼラ会長兼最高経営責任者(CEO)は「モリソン氏の就任を祝福する」と述べた上で、「ジョナサン(モリソン氏)はNHTSAとテクノロジー分野で勤務経験があり、官民パートナーシップの価値を理解している。これは、今後数年間の政権で交通安全と車両技術政策にとって大きな資産となるだろう」とコメントした。また、アフターマーケット業界を代表する自動車用品工業会(SEMA)も「モリソン氏はNHTSAの元法務顧問として実績があり、非常に優れた人選だ」と同氏の実績を評価している。マクマスター氏への承認については、トラック運転手の業界団体OOIDAが「運輸省での豊富な経験を踏まえると、マクマスター氏は実績のあるリーダーで、わが国の高速道路網を監督するにふさわしい人物だと確信している」と歓迎した(「ザ・トラッカー」9月19日)。
トランプ政権下の運輸省は自動運転車の商用化を推進する方針を掲げている(2025年6月24日記事参照)。さらに、企業間平均燃費基準(CAFE)の撤廃を進める意向も示している(2025年2月6日記事参照)。規制動向や技術革新に対する政策は自動車関連企業の事業戦略に与える影響が大きい。今後の展開が注目される。
(大原典子)
(米国)
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