EU-ASEANビジネス協議会、ASEAN進出EU企業の景況感調査結果を発表

(シンガポール、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、EU)

シンガポール発

2025年09月17日

EU-ASEANビジネス協議会(EU-ABC)は9月10日、ASEANで事業展開するEU企業を対象にした景況感調査(EU-ASEAN Business Sentiment Survey、以下、調査)の結果を発表した(EU-ABCプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注)。

今後5年の自社のASEANにおける貿易・投資水準について、「上昇する」と回答した割合が71%で最大となったが、2024年調査の割合(86%)と比較すると減少した。他方で、「現状維持」の割合は増加した(2024年:14%→2025年:26%)。EU-ABCはこれらの結果の理由として、「米国の不安定な貿易政策に端を発する世界的な混乱を受け、産業界全体がより保守的に経済を見通した。また、2024年に東南アジアでの事業拡大を計画していたEU企業がその後、計画を具体化させ、短期的には事業が安定化すると見込んでいる」との見解を示した。

今後5年で最も良い経済機会をもたらす国・地域については、「ASEAN」と回答した割合が56%と最も高かったが、2023年(63%)、2024年(61%)の水準を下回った。EU-ABCはASEANと回答した数値について、「東南アジア諸国を高関税の脅威にさらす米国の政策によってゆがめられている可能性があると」との見方を示した。

米国による関税賦課をめぐる不確実性の、自社のASEANにおける景況感や投資計画への影響については、回答者の半数(50%)が否定的な回答だったのに対し、43%が「どちらでもない」と回答した。「自社事業の見通しを判断するにはさらなる時間が必要であることを示唆している」とし、「全体として、企業は関税の不確実性を警戒しており、楽観論よりもリスク意識と躊躇(ちゅうちょ)が顕著」とした。

米国の新たなもしくは潜在的な関税措置を踏まえた、サプライチェーンの再構築や製造拠点の移転については、「不明(影響を評価中)」と回答した割合が69%で最も多く、「検討していない」(18%)、「検討している」(13%)が続いた。

EU-ABCは、欧州委員会とASEAN事務局の双方から正式に承認されたビジネス団体。本調査は、2015年に開始され、今回で11回目。今回の調査は2025年4月から6月にかけて実施し、474社が回答した。過去の調査結果はEU-ABCのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認が可能。

(注)2025年9月10日に発表された報告書は、9月16日までに修正版がEU-ABCのウェブサイト(既出)に掲載された。

(朝倉啓介)

(シンガポール、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、EU)

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