対ケニア直接投資残高は英国、南ア、モーリシャスが上位
(ケニア、英国、南アフリカ共和国、モーリシャス)
ナイロビ発
2025年09月03日
ケニアの投資庁と国家統計局、中央銀行は8月24日、「2024年度版外国投資調査報告」を発表した。ケニアに所在する1,112社を対象に実施し、部分回答を含めて751社が回答した。うち603社が何らかのかたちで外国資本を受け入れている企業だった。
同報告によると、2023年のケニアの対内直接投資残高は現地通貨シリング建てでは、前年比8.5%増の1兆4,575億シリング(2023年末時点で約1兆3,118億円、1シリング=約0.9円)だった。ただし、シリングは2023年を通して対ドルで下落を続け、約27%下がったことから、ドル建てでは減少だったと考えられる。対内直接投資残高を国別でみると、英国(3,415億シリング)が最も大きく、続いて南アフリカ共和国(1,392億シリング)、モーリシャス(1,326億シリング)、オランダ(1,272億シリング)、米国(1,261億シリング)が続く。伸び率では、中国からの投資が前年比39.2%増、続いて英国(23.0%増)、アラブ首長国連邦(UAE、19.2%増)が大きく伸びた。日本からの対内直接投資残高は前年比0.2%増の123億シリングにとどまった。ただ、日本による投資の多くは英国やモーリシャスなど第三国を経て行われるケースが多い点を考慮する必要がある。
対内直接投資残高を業種別でみると、金融・保険(4,097億シリング)が最も大きく、続いて製造業(2,162億シリング)、情報通信(1,866億シリング)、卸・小売業(1,698億シリング)と続いた。投資額をフローで見ると、情報通信、卸・小売業、金融・保険が大きく、積極的な投資活動が行われている。
投資環境にかかる質問では、ケニアに投資した理由について、回答者の22.9%が「熟練労働者の存在」、続いて17.1%の同率で「市場アクセス」と「ビジネスのしやすさ」と回答した。「政治的安定性」や「政府サービスへの参入」は5.7%と低かった。
ビジネスコストについては、回答者の7割以上は電力コストが高いと評価し、金融サービスや移民・就労許可関連、ビジネス許可などのコストも半数以上が高いと評価した。実際、就労許可については、2024年に大幅な取得料金の引き上げがあった。同報告でも、2024年6月末にはケニア人の雇用は増加したが、外国人の雇用数は長期と短期合わせて前年の4,003人から3,502人に501人減少したとのデータを掲載している。
ビジネス上の課題については、56%が「税制」について「非常に強く懸念している」と回答し、「汚職」も5割に達した。今後3年間の投資計画については、39.5%が「再投資・拡大する」、現状維持が30.3%、多角化が25.0%、「閉鎖・縮小・撤退」が5.3%だった。
(佐藤丈治)
(ケニア、英国、南アフリカ共和国、モーリシャス)
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