米ネブラスカ州で、中西部最大級の産業バイオマニュファクチュアリングのカンファレンス開催

(米国)

シカゴ発

2025年09月30日

バイオマニュファクチュアリング(注1)の最前線を体感できる米国中西部で最大規模のバイオ産業・カンファレンス「バイオイノベーション・ミッドウェスト 2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が、9月15~16日にネブラスカ州オハマ市内のCHIヘルスケアセンターオハマで開催された。

主催のワールドバイオマーケットは、産業バイオマニュファクチャリングの商業化を推進する国際会議やネットワーキングイベントを企画・運営する団体で、ネブラスカ州経済開発局などとともに本イベントを開催。約500人の業界関係者が集結し、バイオ開発・製造企業、スタートアップ、政策・コミュニティ支援団体など多様なプレーヤーが参加・出展するとともに、商業化とサプライチェーン強化を目的とした、事前調整型の1対1ミーティングもアレンジされた。

カンファレンスの冒頭で、共同創業者のポール・マクドナルド氏は「米国のバイオエコノミーは、化石燃料への依存を減らし、強靭(きょうじん)な国内サプライチェーンを確保し、雇用を創出し、国内のイノベーションを保護する上で極めて重要な役割を果たす」と述べた。また、パネルディスカッションなどでは、投資動向、政策支援、人工知能(AI)活用、原料の多様化といったテーマが議論され、実践的な課題解決の手法が示された。ほかに、ユニークなものとしては、全米トウモロコシ生産者協会(NCGA)が生物由来のエアフィルターや防食剤など、トウモロコシ(注2)の新たな用途に関する提案のコンテスト「Consider Corn Challenge」の受賞案件を紹介するとともに、トウモロコシの新用途開発の議論が行われ、農業と産業の連携による市場拡大とバイオエコノミー成長への期待が示された。

今回、2回目の開催となる本イベントを通じて、中西部、とりわけネブラスカ州が米国バイオエコノミーの中核として存在感を増していることを確認できた。

(注1)遺伝子改変技術などを用いて、生物由来の能力から目的物質を得る技術。

(注2)米国のトウモロコシ生産は中西部に集中しており、いわゆる「コーンベルト」(アイオワ州、イリノイ州、ネブラスカ州、ミネソタ州など)で全米生産の約60%を占める。米国産トウモロコシは飼料、エタノール、食品・工業製品に利用され、輸出でも世界最大のシェアを誇る。

(三原洋平)

(米国)

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