山東省、500億元市場を目指し、ロボット産業を本格展開
(中国)
青島発
2025年09月03日
中国山東省の工業・情報化庁は8月14日、山東省「『ロボット+』イノベーション製品と応用シーンの募集業務を実施する通知」(注)を発表した。社会生活の改善と経済発展のニーズに対応するため、製造業、農業、建築、エネルギー、商業物流、医療健康、介護サービス、教育、商業コミュニティーサービス、安全防災・極限環境応用などの10分野を重点分野とし、技術水準が高く、強力な実証牽引効果と良好な普及見込みを持つイノベーション製品と応用シーンを発表し普及する。工業用ロボット、サービスロボット、特殊ロボット、人型ロボットの4分野をカバーするプラットフォームを構築し、ロボット産業と人工知能(AI)の高度な融合を推進する。従来の作業モデルからエンボディードAI(身体性AI)作業モデルへの転換、中低レベルの応用から中高レベル領域への拡大実現を目指す。
具体的な製品と応用シーンとして、製造業分野では、溶接や組み立て、搬送などのロボット製品と、スマート検査や電気設備製造、半導体ウエハー搬送などの応用シーンが対象となる。医療健康分野では、相談サービスや手術、重症看護、検査サンプリングなどのロボット製品と、画像全自動診断治療や高精度ポジショニング、遠隔手術治療などの応用シーンが挙げられている。介護サービス分野では、入浴支援やリハビリ訓練、セキュリティー監視などのロボット製品と、認知症ケアやスマート家事などの応用シーンが含まれる。
選定された製品と応用シーンは「山東省ロボットイノベーション製品と応用シーン推薦リスト」に掲載され、宣伝と普及が行われる。1~2年以内に実現予定のシーンに対しては、政策支援が提供される。
山東省工業・情報化庁などは6月21日、「山東省のロボット産業の質の高い発展行動プラン(2025~2027年)」(鲁工信発〔2025〕2号)を発表し、2027年までに同省のロボット製造産業規模を500億元(約1兆500億円、1元=約21円)以上にすることや、生産額が20億元以上のリーディング企業3社以上の育成を目標に掲げた。また、先進技術、革新的モデル、応用効果の高い応用シーンをデジタル転換モデルプロジェクトの普及範囲に組み込み、最大で200万元の補助金を支給する措置も明記している。
同省は近年、工業用ロボットや特殊ロボット、ロボット重要部品などの分野で優位性を形成し、中国北部地域の重要なロボット製造拠点となっている。省政府の発表によると、2024年末時点で同省のロボット関連企業は200社余りを数え、年間総営業収入(売り上げ)は約300億元に達し、過去3年間の平均成長率は15%を超えている。
(注)「ロボット+」は、中国工業情報化部などが2023年1月18日に発表した「『ロボット+』応用行動実施プラン」で初めて導入した概念で、「ロボット+(各産業分野)」を意味し、ロボット技術をさまざまな産業分野に適用・統合することを指している。
(董玥涵)
(中国)
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