トカエフ大統領訪中、エネルギーや化学、デジタル分野での協力を拡大
(カザフスタン、中国)
タシケント発
2025年09月10日
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は8月30日から9月3日まで中国を公式訪問し、上海協力機構(SCO)首脳会議に参加(2025年9月3日記事参照)、習近平国家主席と会談したほか、カザフスタン・中国ビジネス評議会に出席し、石油・ガス、化学、電力分野の協力を推進した。
トカエフ大統領は9月2日に行われた同評議会で、中国による投資額が訪問時点で270億ドルに達しており、今後も増加の一途をたどると述べた。評議会では、総額150億ドル以上の約70件の協力文書が署名された。主な内容は次のとおり。
- 中国石油天然気集団(CNPC)とカズムナイガスによるペトロカザフスタン・オイル・プロダクツ(シムケント製油所)の年間処理能力の拡大
- CNPCとカズムナイガスによる尿素肥料製造合弁企業の設立
- カズムナイガスと中国海洋石油集団との第三国における炭化水素鉱床の探査・開発に関する戦略的協力
- カザフスタン・エネルギー省、カズムナイガス、中国石油化工(シノペック)による西カザフスタン州における炭化水素の探査・生産
- アティラウ州におけるガスパイプライン建設への中国開発銀行による金融支援
- 政府系ファンドのサムルク・カズィナと華為技術(ファーウェイ)によるデジタルソリューション導入に関する戦略的パートナーシップ
これらに加え、電力分野における合意文書が多く締結された。カザフスタンの発電施設近代化を手掛ける会社サムルク・エナジーと中国南方電網との水力蓄電発電所建設プロジェクト開発に関する合意や、カザフスタン電力網運営会社(KEGOC)と中国能源工程集団(エネルギーチャイナ)とのカザフスタン北部と南部を結ぶ直流送電線敷設のためのEPC(設計・調達・建設)契約条件に関する合意などが挙げられる。さらに、「クルシブ」(9月2日)によると、カザフスタンのエネルギー省とエネルギーチャイナは、トルキスタン州における300メガワット(MW)の太陽光発電所プロジェクトに関する投資契約および電力購入契約を締結した。プロジェクトの費用は約3億2,000万ドルで、2025年から2026年に実施される予定。
両国間のエネルギー分野における協力は、発電所建設や電力購入に加え、技術協力にも発展している。今回のトカエフ大統領の訪問中に、カザフスタン・ジャンブル州にある風力発電機部品の製造工場の起工式がテレビ中継で行われ、トカエフ大統領と中国の丁薛祥副首相がオンラインで出席した。同工場は中国の風力発電部品製造大手、三一重能の支援を受けて建設された。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(カザフスタン、中国)
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