米国向け農産品輸出、2カ月連続で減、米国関税の影響顕著

(イタリア、米国)

ミラノ発

2025年09月30日

イタリア農業従事者連盟(Confederazione Agricoltori Italiani:CIA)は9月16日、2025年7月の米国向け農産物および加工品(以下、農産品)の輸出額が前年同月比で10%減となったと発表した。イタリア国家統計局(ISTAT)のデータを基にしたCIAの調査によると、農産品の対米輸出額は2025年4月から低迷し、6~7月の2カ月連続で前年同月比減となり、米国相互関税の影響が顕著となった(添付資料図参照)。

イタリアの対米農産品の輸出額は、2024年には約80億ユーロに達しており、米国は主要市場となっている。CIAは、イタリアの農産品の対米輸出が、米国関税措置の発表があった2025年4月以前は成長軌道だったこともあり、2カ月連続のマイナスを深刻に受け止めている。1~7月の輸出額増加率(前年同期比)でみても、2024年の19%増に対し、2025年は3%増と大きく伸び率が低下し、金額では約6億ユーロ減と落ち込んだ。CIAは前月も、米国関税政策において、自動車産業の救済のために農産品が犠牲になっているという見解を発表。ワインなど主要分野で大きな損失を被るリスクが高いにもかかわらず、政府による具体的な対策が取られておらず、雇用などにも深刻な影響が出ることを懸念している。

またイタリアワイン組合(Unione Italiana VINI:UIV)も、米国関税の影響を発表している。2025年7月に米国に輸出されたイタリア産ワインの1リットル当たりの平均価格は5.64ドルで、2024年7月の6.52ドルから13.5%下落した。UIVは、ユーロ高・ドル安傾向にもかかわらず同価格が低下しているのは、米国関税に対処するため、イタリア企業が関税分を負担し、利益率を大幅に犠牲にしているためだと強調している。また、米国の店頭では関税発動以前の在庫品に対しても不当な値上げをして販売されているケースもある、と遺憾の意を表明している。UIVは、2026年から米国に加えて、英国、カナダ、ブラジルなどの有望市場を対象とした官民一体の販売促進プログラムなどの実施を政府に求めている。

(平川容子)

(イタリア、米国)

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