JWIBAサマーサミット開催、AI社会に問う教育の未来と人間らしさ

(米国、日本)

サンフランシスコ発

2025年09月16日

米国ベイエリアに滞在し、キャリア構築に関心のある日本人コミュニティー(JWIBA)は95日、サマーサミットをカリフォルニア州のスタンフォード大学で開催した。同大学米国アジア技術経営センターとの共催で、ジェトロと在サンフランシスコ日本総領事館に加え、5社が協賛した(注)。

基調講演では、スタンフォード大学数学科の時枝正教授が「イノベーションによって起こっている変化を知り、これからの学びを考える」と題して登壇し、人工知能(AI)にはない「体で覚える知能」の重要性を強調して、人間の学びの本質を見直す必要性を説いた。

続いて、メルカリの山田進太郎創業者が設立した財団とJWIBAの連携が紹介され、日本の女子学生が理系分野への進路を広げる取り組みの成果が報告された。

写真 (左)パネルの様子、(右)JWIBAサマーサミットの参加者(ともにJWIBA提供)

(左)パネルの様子、(右)JWIBAサマーサミットの参加者(ともにJWIBA提供)

パネル「変わる学び、変わらない本質」では、ソラ・インターナショナル・プリスクールの中内玲子代表が幼児教育で質問力や共感、行動力の育成が重要だと述べ、UCアーバイン・コネクテッド・ラーニング・ラボの伊藤瑞子所長は、AIを一方的に制限せず、親子の信頼関係を通じて学びに生かす可能性を示した。

午後の基調講演で、SOMPOデジタルラボのアルバート・チュー最高経営責任者(CEO)は「自己変革の思考法」について講演し、技術の変化を恐れず、好奇心と広いネットワークを持つ姿勢の重要性を強調した。

最後のパネル「不確実な世界に通用する未来型スキル」では、カーネギー国際平和財団の櫛田健児シニアフェローがクリティカル・シンキング(根拠を吟味して多角的に考える姿勢)と、フレーミング力の重要性を指摘した。日立製作所の荒川奈津子戦略的社会イノベーション事業本部HR部長は変革を促すリーダー育成を紹介し、キャンブリー・グローバルの佐藤亜希子GTMオペレーション部長はAIに代替できない人間関係に基づくソフトスキルの必要性を訴えた。

参加者からは、就職へのAIの影響や子育てに関する質問が相次ぎ、活発な意見交換が行われた。

(注)SOMPOデジタルラボ、パソナ、モーガン・ルイス、NEC X、ロート製薬

(松井美樹)

(米国、日本)

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