トルコ、各県の社会・経済的ステータス調査結果を発表

(トルコ)

イスタンブール発

2025年09月19日

トルコ統計機構(TUIK)は8月、トルコにおける社会・経済的地位に関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

本調査は、約2,600万世帯のデータを対象に社会・経済的なステータスを総合的に評価したもので、2022~2024年の住民登録システムの情報を基に、所得、教育水準、自動車保有などの項目を使い算出している。社会・経済的ステータスを7つの階層に分類したうえで、全81県と各県の市ベースにわたる細かいデータや地図が示されている。

トルコ全体でみると、社会・経済的ステータスが最上位の層は1.1%で、次いで上位層11.0%、下上位層16.4%、上中位層19.7%、中位層16.5%、下位層18.6%、最下位層16.7%だった。

最上位と上位の2つの層を合わせた世帯の割合を県別にみると、最も割合が高かった県はアンカラ(19.0%)で、次いでイスタンブール(18.8%)、コジャエリ(14.5%)、イズミル(13.6%)、エスキシェヒル(12.8%)など西部の主要経済都市圏が上位を占める(添付資料表参照)。市別にみると、イスタンブール県ではカドゥキョイ(38.2%)、ベシクタシュ(36.2%)、バクルキョイ(30.6%)、アンカラ県はチャンカヤ(36.9%)の各市が30%を超えており、イズミル県はギュゼルバフチェ市(28.3%)が上位に位置する。

また、上位2つの層について、全県の合計に占める割合が最も大きい県は、イスタンブール(28.6%)で、次いでアンカラ(11.5)、イズミル(6.7%)、ブルサ(3.9%)、アンタルヤ(3.3%)などが続く。特に1,570万人とトルコ最大の人口を抱えるイスタンブールは、最上位の層の割合だけで全県における同層の40.9%を占めている。

TUIKは、このレポートとは別に、毎年、トルコにおける詳しい所得分布統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。2024年の発表によると、5層に分けた所得層のうち最上位層のグループが総所得の約半分(48.1%)を占めている。OECDの調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、トルコはチリやメキシコなどとともに所得格差が大きい国に位置付けられている。一方で、トルコにおけるビジネスでは、購買力の高い西部を中心としたマーケット、高所得層の消費行動などを踏まえたマーケティング戦略が重要だが、黒海や南東部地域などで上位にランキングする地方都市でのビジネスポテンシャルにも注目できるといえる。

(佐野充明)

(トルコ)

ビジネス短信 daa918e9278835e0