トランプ大統領の英国訪問に合わせて、米テック企業が大型投資を発表

(英国、米国)

ロンドン発

2025年09月19日

英国では9月16日、米国のトランプ大統領の国賓訪問に合わせて、米国テック企業による投資計画の発表が相次いだ。マイクロソフトは、同社史上最大の対英投資として2025~2028年の4年間で300億ドルを投じる。うち150億ドルは、英国内のクラウドおよび人工知能(AI)インフラ構築に向けた設備投資だ。データセンターの規模を拡大し、ボーダーフォン、バークレイズやロンドン証券取引所グループなど、幅広い顧客のAI需要拡大に対応する。残りの投資は、英国全土でのマイクロソフトの継続的な事業運営に充てられる。

グーグルは、今後2年間で設備、研究開発、および関連のエンジニアリングに50億ポンド(約1兆円、1ポンド=約200円)を投資する。同投資の一環として、データセンターをロンドン郊外のウォルサムクロスに9月16日、オープンした。さらに、英国におけるカーボンフリーエネルギー管理事業者として英国エネルギー大手のシェル・エナジー・ヨーロッパを選定。同社は、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を活用し、クリーンエネルギー発電量の変動による影響を抑えながら、電力利用の最適化を図る(注)。これにより、グーグルの英国事業は2026年までに全体の約95%がクリーンエネルギーで賄われる見通しだ。

また、エヌビディアは、AIインフラ企業の米国コアウィーブ(CoreWeave)、英国エヌスケール(Nscale)などと英国で連携。エヌビディアの先端半導体(GPU)12万基を導入し、最大110億ポンドをデータセンター向けに投資することで、2026年末までに、パートナー企業とともにオープンAIなどの主要AIモデルを提供する「AIファクトリー」を構築する。

英米両政府は9月18日、英米技術繁栄協定に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。AI、量子技術、原子力などの成長分野の技術開発が焦点となっている。

(注)発電量が多い時期に余剰エネルギーを貯蔵しておき、発電量が少ない時期に貯蔵電力を電力網に放出する。

(野崎麻由美)

(英国、米国)

ビジネス短信 d580f7880bc8a23a