インドネシアで大規模デモ、国会議員住宅手当に抗議

(インドネシア)

ジャカルタ発

2025年09月01日

インドネシアでは、8月25日からジャカルタをはじめとする主要都市で学生を中心としたデモが発生している。今回のデモの主な要因は、国会議員の住宅手当の引き上げに対する反対だ。国民議会(DPR)議員は、住宅手当として毎月5,000万ルピア(約45万円、1ルピア=約0.009円)を受け取っているとされており、これに加えて基本給や他の手当を合わせると、月収は1億ルピアを超えるとみられている(8月25日付「テンポ」紙)。

8月28日には、ジャカルタで大規模なデモが発生し、暴徒化した学生を鎮圧するために出動した機動隊の車両が、デモに参加していたオートバイ・タクシーの運転手と接触し、同運転手が死亡する事態となった。インドネシア学生執行委員会(BEM SI)は、この事案に関与した機動隊員の逮捕や警察幹部の解任などを要求。8月29日夕方には、前日の事故を非難するデモがさらに発生した。ジャカルタでは同日、デモの拡大を懸念し、社員を午前中のみの勤務とし、午後を休暇や在宅勤務とした日系企業もあった。

インドネシア政府は、2024年10月に発足したプラボウォ・スビアント政権下で、低所得者層向けの給食無償化などの政策を推進する一方、教育予算の削減や中間層の人口が絶対数、割合ともに停滞していることへの対応が不十分だとの批判がある。

写真 デモ参加者を乗せた車両の列とデモを警戒して閑散とする目抜き通り(8月29日)(ジェトロ撮影)

デモ参加者を乗せた車両の列とデモを警戒して閑散とする目抜き通り(8月29日)(ジェトロ撮影)

(大滝泰史)

(インドネシア)

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