WIPOのイノベーション・クラスター・ランキング、「深セン市・香港・広州市」が首位に

(香港)

香港発

2025年09月05日

世界知的所有権機関(WIPO)は9月1日、グローバル・イノベーション・インデックス(GII)の2025年度版イノベーション・クラスター・ランキング(注)を公表した。GIIは、イノベーションの全体像を可能な限り把握することを目的として、(1)制度、(2)人的資本と研究、(3)インフラ、(4)市場の洗練度、(5)事業の洗練度、(6)知識、技術の産出、(7)創造的なアウトプット、の7項目から構成する約80の指標について評価した指数だ。

同ランキングにおいて、「深セン市・香港・広州市」が1位に選ばれた。「東京都・横浜市」が2位となり、長年維持してきた1位の座を明け渡すこととなった。その他、3位は「サンノゼ・サンフランシスコ」、4位は北京市、5位はソウル市と続き、前年6位だった「サンノゼ・サンフランシスコ」が大きく順位を上げた。

「深セン市・香港・広州市」は、2020年から2024年の間に11万7,542件の特許協力条約(PCT)出願、2019年から2023年の間に19万3,635本の科学論文発表、6,916件のベンチャーキャピタル取引を記録した。一方、「東京都・横浜市」は、それぞれ順に13万5,129件、11万5,773件、5,154件だった。今回のGIIでは初めて、ベンチャーキャピタル取引件数が新たな指標として追加され、スタートアップやスピンオフ企業をより重視するものとなっている。

香港特別行政区政府の報道官はGIIの結果について、「香港が国際金融センターとしての役割を果たし、中国本土と香港がアジアのベンチャーキャピタルおよびプライベート・エクイティ・ファンド管理においてそれぞれ1位と2位にランクインする中、深セン市・香港・広州市のクラスターは資本を効果的に誘導し、革新的なアイデアを具体的な成果へと転換する支援において卓越した成果を上げている」と述べた。香港政府は2026年に、「イノベーション・技術ベンチャー基金」の改良版を導入するとともに、新たな投資プログラム「イノベーション・技術産業向け基金」を開始する計画だ。

なお、GIIの国・地域別の総合ランキングは9月16日に公開される見込みだ。

(注)特許出願活動、科学論文発表、ベンチャーキャピタル(VC)活動の分析に基づいて、地域に集中するイノベーション活動の度合いを特定するランキング。

(島田英昭)

(香港)

ビジネス短信 d01bd4fecf6dee62