第2回アフリカ気候サミット開催、アフリカ主導の気候対策と資金拡充を強調
(エチオピア、アフリカ)
アディスアベバ発
2025年09月12日
エチオピアの首都アディスアベバで9月8~10日、第2回アフリカ気候サミット(ACS2)が開催された。同国政府とアフリカ連合(AU)の共催で、「グローバル気候ソリューションの加速:アフリカの持続可能で環境に配慮した発展のための資金調達」をテーマに、アフリカ45カ国の元首・首脳級を含む約2万5,000人が参加した。
アビィ・アハメド・エチオピア首相は開会式の基調講演で「アフリカは気候変動の被害者ではなく、解決策の推進力として位置づけられるべきだ」と強調し、7年間で480億本の植樹を行ったグリーンレガシー・イニシアチブや、5,000メガワット(MW)級の再生可能エネルギーを供給するグランドルネッサンスダム建設などの実績を紹介した(2025年7月9日記事参照)。同ダムを巡っては、下流のエジプト、スーダンとの対立が続いているが、首相は「大陸の統一と自立、環境に配慮した未来の象徴」と位置づけた。
アフリカ気候イノベーション協定(African Climate Innovation Compact:ACIC)の設立も提案し、2030年までに1,000のアフリカ発気候ソリューションの創出と年間500億ドルの資金調達を目指すと発表した。また、2027年の国連気候変動枠組み条約第32回締約国会議(COP32)のエチオピア開催の立候補も表明した。
議論の中心は気候変動対策資金の拡充だった。マフムード・アリ・ユスフAU委員長は「世界の温室効果ガス(GHG)排出量のうち、アフリカが占めるのは4%未満だが、気候変動の最も深刻な影響を受けている」と指摘し、適正かつ安定的な気候変動対策資金の必要性を訴えた。
サミットでは、アフリカ開発銀行(AfDB)やアフリカ輸出入銀行(Afreximbank)など、アフリカの主要金融機関によるアフリカ・グリーン工業化イニシアチブ(Africa Green Industrialisation Initiative、AGII)への1,000億ドル拠出確約などの具体的成果も発表され、最終日に「アディスアベバ宣言」が採択された。
(石川晶一)
(エチオピア、アフリカ)
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