食品の付加価値税の一時引き下げ案発表、インフレ下で家計支援
(スウェーデン)
ロンドン発
2025年09月18日
スウェーデン政府は9月4日、2026年度予算案を公開し、食品の付加価値税(VAT)の一時引き下げをはじめとする食品価格対策パッケージを発表した。
高インフレに直面して厳しい経済状況の同国で(2025年9月1日記事参照)、食品価格の高騰が人々の家計を圧迫しているとして、2026年度予算案の中で食品価格対策パッケージ案を打ち出す予定だ。
食品価格対策パッケージの内容は次のとおり。
- 食品のVAT引き下げ:食品のVATを一時的に12%から6%に引き下げる。子供2人を含む世帯の場合、年間約6,500スウェーデン・クローナ(約10万4,000円、SEK、1SEK=約16円)分の食費節約に相当する。2026年4月1日から2027年12月31日まで適用。
- 食品価格委員会による食品価格のモニタリング:政府は食品のVAT引き下げを実施した場合、引き下げ分が食料品店の小売価格にも反映されると想定。消費者庁に食品価格委員会を設立し、他の関係機関と協力して食品価格の動向をモニタリングする。
- 食料品小売店に対する規制緩和:政府はスウェーデン経済地域成長庁に食料品業界の規制緩和を指示。食料品店の競争環境を強化し、長期的には低価格化を促す。また、同庁は地方自治体を指導し、食料品店の増設を促進する。
ウルフ・クリステション首相は、この予算案の中核は子育て世帯への支援であり、食品のVAT減税は食品価格の引き下げにつながると述べた。
一方、食品のVAT引き下げには多額の政府予算が必要なことから、現地メディアでは、低所得者層の支援のためには、児童手当や住宅手当などの補助金増額がより適切だとする専門家の指摘を紹介している(2025年9月4日付現地日刊紙「Aftonbladet」)。
(バリオ純枝、篠崎美佐)
(スウェーデン)
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