万博ナショナルデーに合わせ、クロアチア首相が来日、大阪でビジネスフォーラムを開催
(日本、クロアチア)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年09月25日
クロアチア経済会議所は9月21日、大阪・関西万博のナショナルデーに合わせ同国のアンドレイ・プレンコビッチ首相率いるビジネスミッション団が来阪した契機に、大阪商工会議所と共催で「日本クロアチア ビジネスフォーラム」を開催した(ジェトロ後援)。
クロアチアはアドリア海に面する南欧バルカン半島諸国の1つで、人口は約400万人、EU加盟国で、ユーロ圏、シェンゲン協定国に属している。アンテ・ススニャール経済相は、クロアチアの魅力として主に次の3点を挙げた。
a.地理的立地の良さ:汎(はん)ヨーロッパ回廊の一部が国土を横切るなど西欧、東欧、黒海地域などの結節点にある。
b.安価な投資コスト:EU加盟国中、投資コストが最も安価で、労働コストも多くの産業分野でEU平均を下回っている。
c.優秀な人材:英語、ドイツ語、イタリア語など多言語の運用が可能な人材が豊富。
アンドレイ・プレンコビッチ首相は、政府の取り組みとして1人当たりGDPの向上、GDP比での政府債務削減と信用格付けの向上、エネルギー源の多様化などを推し進めていると説明。2025年の1人当たりGDPは約2万5,700ドルと10年前に比べて倍増し、エネルギー源の多様化においては、太陽光、風力、地熱発電といった再生可能エネルギーに加えて、液化天然ガス(LNG)ターミナルの整備を進めていると述べた。
スピーチするプレンコビッチ首相(ジェトロ撮影)
クロアチアの優位性について、伊東良孝国際博覧会担当特命担当大臣は「地域の貿易拠点であるだけでなく、優れた人材、観光資源を有する。これは日本企業にとって大きな魅力だ」と指摘。大阪商工会議所の井内摂男専務理事は「電気自動車をはじめとする先端産業があり、日本企業と連携できる潜在性がある」と語った。
ジェトロの片岡進副理事長は日本との関係について触れた。現在、30社以上の日系企業が進出し、現地で医療機器、自動車部品を製造している。また、同国で獲れるマグロは日本に輸出されているが、それだけでなく、寿司(すし)をはじめとする日本食が同国では人気であり、首都ザグレブでは日本のホタテ貝を提供しているレストランがある。両国の連携は経済面だけではなく、地政学的リスクが高まる今日では三海域イニシアティブ(3SI、注)といった安全保障面においても重要だと語った。
フォーラムの様子(ジェトロ撮影)
フォーラム後のビジネスマッチングには、農業・食品、ヘルスケア、IT、物流、エネルギー、建設、金融などの分野のクロアチア企業約60社・団体が参加し、活況を呈した。
ビジネスマッチングの様子(ジェトロ撮影)
(注)2015年に中・東欧・バルト地域における南北の連結性強化や東西格差の縮小を目的として、ポーランドとクロアチアの主導により発足した経済協力枠組み。2024年に日本は戦略的パートナーに加わった。
(齋藤寛)
(日本、クロアチア)
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