テマセク、アジア最大級の環境技術公募を開始
(シンガポール、ASEAN)
シンガポール発
2025年09月09日
シンガポールの非営利団体テマセク基金(Temasek Foundation)は9月4日、脱炭素や気候変動対策に関するアジア最大級の環境技術公募「ザ・リバビリティー・チャレンジ2026」の公募開始を発表した。優勝賞金(助成金)総額は400万シンガポール・ドル(約4億6,000万円、Sドル、1Sドル=約115円)以上と、前回の公募の2倍超に増額される。公募は2026年2月9日に締め切られる。
テマセク基金は、政府系投資会社テマセク・インターナショナル傘下の慈善部門だ。同基金のヘン・リラン環境・居住環境主任は公募開始発表のイベントで、「われわれのミッションは、環境の緊急な課題を解決する最善のアイデアを現実のものとすることだ」と述べた。2026年の公募のテーマは、(1)脱炭素技術、(2)気候変動に伴う異常気象への対応策。
脱炭素分野では、炭素など廃棄物を回収して付加価値のある製品に転換する技術や、再生可能エネルギー、二酸化炭素(CO2)回収、バイオ燃料などの技術を対象とする。上位2位のソリューション提供者にはそれぞれ100万Sドルの助成金が提供される。さらに、科学技術研究庁(Aスター)から最大100万Sドルの開発資金を獲得する機会も得られる。
気候変動分野については、気温上昇に耐え得る農産物や、先進素材などの技術を募集する。このほか、海藻栽培など海洋の生態系が炭素を吸収する「ブルーカーボン」と、低メタン排出型農業など陸上の生態系が炭素を吸収する「グリーンカーボン」など、自然由来のソリューションも対象となる。上位2位のソリューション提供者にはそれぞれ100万Sドルの助成金が授与される。
応募条件として、概念実証(PoC)の段階で技術成熟度レベル(Technology Readiness Levels:TRL)が6以上であることが必要だ。また、応募者の国籍は問わないが、提案するプロジェクトはシンガポールに適応した技術であることが求められる。なお、自然由来のソリューションについては、東南アジアに適応することが条件となる。最終選考に選ばれた企業・団体は2026年5月にテマセクが開催予定の環境関連の国際会議「エコスペリティー(Ecosperity)2026」の関連イベントとして行われるピッチコンテストに出場する予定だ。
公募の詳細と申し込み方法は、ザ・リバビリティー・チャレンジのウェブページを参照。
2026年の環境技術公募を発表するテマセク基金のヘン・リラン環境・居住環境主任(ジェトロ撮影)
(本田智津絵)
(シンガポール、ASEAN)
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