上海市で「使い捨てプラスチック製品」規制の取り組み強化

(中国)

上海発

2025年09月18日

「生態文明建設の深化と美しい中国上海モデル構築に関する決定」が9月1日から施行され、上海市での「使い捨てプラスチック製品」の使用禁止・制限の強化をあらためて提唱した。違反した企業には最高10万元(約210万円、1元=約21円)の罰金や営業停止命令が科される可能性がある。

この決定は、上海市を中国の生態文明の先導モデルと位置づけ、世界の超大都市の持続可能な発展に「上海モデル」を提案することを目的としている。決定の第8条では、「グリーン・低炭素製品の普及」「法に基づいた使い捨てプラスチック製品の使用禁止・制限」「リサイクル可能、回収が容易、分解可能な代替製品の導入推進」など、環境負担軽減のための規定を盛り込んだ。第9条では、「生態環境保護分野の行政執行を厳格化」するとし、具体的には「部門間、地域間、流域間の監督管理、法執行の連携強化」「行政執行と刑事司法の接続強化」を盛り込み、違反行為への体制整備を進める。

上海プラスチック工業協会は8月20日に発表した公告の中で、決定第8条について言及している。国家発展改革委員会と生態環境部の「プラスチック汚染対策のさらなる強化に関する意見」(発展改革環資[2020]80号)などの要求を地方立法の面から継続・明確化した「上海市のプラスチック汚染対策の一層の強化に関する実施案」(上海発改規範〔2020〕20号)の法的厳粛性を強化したものだという。この実施案で使用禁止・制限しているプラスチック製品には、「プラスチック製ショッピングバッグ」「使い捨てプラスチック食器」「ホテルの使い捨てプラスチック用品」「宅配プラスチック包装」などがある。

現地法律事務所の大地法律事務所は、今回の決定により、実施案で使用禁止・制限していたもののうち、「特にPE(ポリエチレン)コーティングやPLA(ポリ乳酸)コーティングなど、回収が困難で環境汚染につながる素材を使用した使い捨て容器については、飲食業やフードデリバリー業、販売業などの分野で重点的に制限される見込み」としている(注1)。また、同法律事務所は決定第9条の法執行の規定について、「上海市環境保護条例」第32条、「固体廃棄物環境汚染防止法」第106条の規定に基づき、違反した企業には最高10万元の罰金や営業停止命令などの可能性があるとして注意を促している。

上海プラスチック工業協会によると、中国では現在、年間1,000億点以上の使い捨てプラスチック食器が消費されており、上海市ではデリバリー用の容器に年間10万トン以上のプラスチック原料が必要とされているという。同協会は、実施案で定めた30%の代替率(注2)を達成するには、生分解性プラスチックが毎年3万トン以上必要になると指摘する。

(注1)大地法律事務所ウェブサイトの最新法律動向(9月4日)

(注2)2020年10月1日に施行された実施案では、2025年末までに上海市内のデリバリー用の非分解性使い捨てプラスチック食器の消費を30%以上減少させるとしていた。

(伊藤彩菜)

(中国)

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