2025年のGDP成長率を0.9%に上方修正も、米国関税によるリスク残る

(韓国)

調査部中国北アジア課

2025年09月03日

韓国銀行(中央銀行)は8月28日、経済展望報告書を発表した。それによると、2025年の実質GDP成長率の予測を0.9%とし、前回5月に発表した予測値0.8%から0.1ポイント上方修正した。同年のGDP成長率の予測値は2023年11月の経済展望報告書で初めて発表されて以降、下方修正が続いたが、今回は予測値公開後で初の上方修正となった。2026年の成長率については、前回から据え置きの1.6%とした。

2025年の予測値を上方修正した背景について、同行は補正予算による景気刺激や、民間消費の回復、半導体を中心とした輸出の回復によるものと説明した。支出項目別の成長率を見ると、民間消費は前回から0.3ポイント増の1.4%、財貨の輸出は2.6ポイント増の2.5%、設備投資は0.7ポイント増の2.5%とするなど、数値の改善を見込んだ。その一方、特に建設投資の見通しが悲観的で、前回から2.2ポイント減のマイナス8.3%と予測した(添付資料表参照)。

米国関税政策が経済成長率の押し下げ要因に

同行はリスク要因にも言及しており、上振れ要因として「世界的な貿易政策の緩和」「消費心理の改善」「半導体需要の拡大」を挙げた。一方、下振れ要因としては「米中貿易摩擦の激化」「建設部門の不振継続」「国際金融市場の不安定化」を挙げるなど、諸外国の貿易関連政策による変動リスクを指摘した。

韓国銀行は米国関税について、経済展望とともに、「米国関税政策が韓国経済に及ぼす影響」報告書を公開した。同資料によると、米国関税政策は、関税賦課がなかった場合と比較して、韓国のGDP成長率を2025年は0.45ポイント、2026年は0.6ポイント、それぞれ押し下げると予測した。米国の関税政策は短期的な経済に影響を及ぼすのみならず、国内外の政治・経済・産業構造の変化も引き起こす可能性があるとして、国内全体で危機意識を持った対応の重要性を主張した。

(向野文乃)

(韓国)

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