香港とシンガポールの中央銀行が銀行監督に関する協力を強化
(香港、シンガポール)
香港発
2025年09月25日
香港とシンガポールそれぞれの中央銀行である香港金融管理局(HKMA)とシンガポール金融管理庁(MAS)は9月17日、銀行監督協力に関する覚書(MOU)を締結したと発表した。
覚書では、長年にわたり銀行監督に関して連携してきた両当局が、さらに監督業務における協力を強化するとともに、監督を目的とした情報交換および相互支援を促進するものとされている。香港およびシンガポールの銀行が両国・地域に広く展開し存在感を示す中、今回の協力によって両当局による監督の下、銀行のクロスボーダー業務への監督が強化されることとなる。
日本の金融関係者によると、「この背景には、両都市が持つ後背地の規模と成長性があると考えられる。香港は14億人で構成される中国のゲートウェイであるとともに2億人弱の人口を抱える華南経済の入り口であり、シンガポールはおよそ6億7,000万人の人口を有するASEAN経済の中核であるとともに東南アジアの華僑および印僑ネットワークの要」という。また、「両都市は英領植民地時代から緊密なつながりを持っており、金融面でも部分的には相互補完関係にあった。こうしたことから、本覚書の締結は、地政学的緊張と経済の不安定性を乗り切るためにシームレスな監督が不可欠であるアジアの銀行セクターにおける相互依存性の高まりを反映しているものといえる」との見解を示した。
余偉文(エディー・ユエ)HKMA総裁は、「香港とシンガポールは、地域を代表する2大国際金融センター」としたうえで、「今回の覚書の締結は、両当局間の緊密な連携を強化するとともに、両管轄地域におけるクロスボーダー銀行取引に関する監督上の協力と情報共有を強化するもの」と述べた。
また、チア・ダージウンMAS長官は、「本覚書はMASとHKMAの間の強固なパートナーシップを再確認するとともに、両当局が相互に関心を持つ重要な領域(具体的には銀行のクロスボーダー業務への監督と、リスク管理や規制順守のための制度のあり方など相互の利益に関わる分野)におけるより深い連携、監督協力の促進、情報交換やベストプラクティスの共有のための道を切り開くもの」と述べた。
(越川剛)
(香港、シンガポール)
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