欧州委の研究機関、アフリカの重要投資先として11回廊を評価
(EU、アフリカ)
ブリュッセル発
2025年09月18日
欧州委員会の共同研究センター(JRC)は8月21日、アフリカの30以上の国々をつなぐ11の戦略的回廊の比較評価の結果を発表した(プレスリリース)。
この回廊は、アフリカ大陸全体の移動と貿易の効率化を目指し、2022年の第6回EU・アフリカ連合(AU)首脳会議(2022年2月22日記事参照)で発表されたもので、EUが掲げる質の高いインフラ投資「グローバル・ゲートウエー」(2025年7月3日付地域・分析レポート参照)の一環だ。
評価は、11回廊を次の4つの具体的な目的に基づいて比較し、実施した。(1)二酸化炭素(CO2)排出削減と生物多様性の保護、(2)デジタル化の促進、(3)アクセシビリティーの向上、(4)生産性の高い地域の開発とバリューチェーンの構築支援(鉱業、原材料、農業、アグリビジネスなど、添付資料表参照)。
主な分析結果は次のとおり。
a.全11回廊はいずれも投資先として魅力的。
b.「(3)のアクセシビリティー(交通、接続性を含む)向上」の支援が効果的で、4つの目的の中で最も有望な投資先分野。
c.「(1)CO2排出削減と生物多様性の保護」のための投資が最も必要な地域として、都市部と農村部の輸送部門のCO2排出が多く、森林被覆率が低く、人口増加率が高い地域を特定。
d.最も困難な分野は「(2)デジタル化の促進」。交通とアクセシビリティー向上との相乗効果を活用し、デジタル化に伴うコストの低減が期待される。
e.「(4)生産性向上支援」は他の分野の評価と比べてばらつきが大きく、回廊や地域、産業別にさらなる評価が必要。西アフリカの3つの回廊は、生産性が高いクラスター形成として潜在性がある。
f.大都市集積地や主要な輸送・物流インフラ拠点は、地域ごとに異なる特性を示すことが多く、固有の課題や機会、投資リスクの理解に向けた詳細調査が必要。
(大中登紀子)
(EU、アフリカ)
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