COP30に向けてラテンアメリカ・カリブ諸国の閣僚会合が開催

(メキシコ、ブラジル、中南米)

調査部米州課

2025年09月01日

メキシコのメキシコ市で8月25、26日の2日間、第1回「ラテンアメリカ・カリブ地域における気候変動対策の実施に向けた閣僚会合」が開催された。同会合は11月にブラジルのベレンで開かれる国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に向けて、ラテンアメリカ・カリブ地域の連携を深めることが目的だ。国立宮殿で行われた開会式には、同地域の22カ国から閣僚や政府高官らが集まった。

自身も研究者としてエネルギーや環境問題に携わってきたメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、持続的な発展を進めるためには、環境保護に加え、経済、社会そして国民主権も考慮する必要があると訴えた。その上で、次の7つの行動計画を発表した。

  1. 2030年までに発電の35%を再生可能エネルギーで賄う。
  2. 再植林の促進を目的とした、農業従事者40万人に対する年間合計20億ドルの支援。
  3. 汚染が進んでいる河川の浄化・水質改善。
  4. 灌漑用水を飲料水として利用可能にする技術導入プログラムの実施。
  5. 鉄道網の強化による、道路交通(自動車など)の削減。
  6. 排出削減を促進する自動車向け環境規制の導入。
  7. オリニア(Olinia)・プロジェクト(注)による低価格小型電気自動車および電気バスの開発。

続いて登壇したアリシア・バルセナ・イバラ環境・天然資源相は、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)のデータを引用し、2024年にラテンアメリカ・カリブ地域では56の異常気象が発生し、600万人以上に影響を与え、100億ドル以上の経済損失をもたらしていることを紹介した。また、COP30では、メキシコが2035年までの新たな目標を発表し、さらに2050年までにカーボンニュートラルを実現することを誓約する予定であることを明かした。

会合には、COP30議長のアンドレ・コヘア・ラーゴ氏も出席し、「気候変動対策には、これまで以上に真剣な取り組みが求められている。公平性を重視しながら、多国間枠組みの中で進めることが不可欠だ」と述べ、各国に対して連帯を呼びかけた。

(注)メキシコ政府が主導する、国産電気自動車の開発プロジェクト。「Olinia」は先住民語であるナワトル語で「移動する」を意味する。

(加藤遥平)

(メキシコ、ブラジル、中南米)

ビジネス短信 ba4c873b05b9d751