アンドラ・プラデシュ州、テックハブ開発のために低価格で土地提供
(インド)
チェンナイ発
2025年09月05日
インド南部アンドラ・プラデシュ(AP)州政府は8月16日、IT企業を中心とする集積地への優遇策「テックハブ用土地インセンティブ(LIFT)政策〔Andhra Pradesh Land Incentive For Tech Hubs (LIFT) Policy〕(4.0)2024 – 2029」を発表した(添付資料参照)。AP州政府は、本政策で主要なIT企業、情報技術対応サービス(ITeS)企業およびグローバル・ケイパビリティー・センター(GCC)を誘致するための土地を、1エーカー(約4,047平方メートル)当たり0.99ルピー(約1.7円、1ルピー=約1.7円)の低価格で提供する。有効期間は政策発表日から5年間、もしくは新たな政策が発表されるまでのいずれか遅い方となる。
なお、本政策の対象となるIT企業、ITeS企業およびGCCは、次のいずれかの条件を満たしている必要がある。
- 過去3年間でフォーチュン誌またはフォーブス誌が発表する「フォーチュン500」「フォーチュン500ヨーロッパ」「フォーチュン・グローバル500」「フォーチュン1000」「フォーブス・グローバル2000」のいずれかにランクインしていること。
- 過去3暦年において、最低10億ドルの時価総額を有した実績があること。
- 過去3事業年度において、最低10億ドルの年度売上高を有した実績があること。
また、本政策に申請するIT企業およびITeS企業は、3年以内に最低3,000人の雇用と1エーカー当たり最低500人の雇用を創出する必要がある。GCCについては、3年以内に最低2,000人の雇用と1エーカー当たり最低500人の雇用を創出する必要がある。加えて、外国企業については、土地割当時に法的に登録されたインド国内法人を設立することが義務付けられる。さらに、土地利用を申請するGCC開発者やITパーク開発者は、1エーカー当たり10万平方フィート(約9,290平方メートル)以上の建設義務や、IT企業、ITeS企業ならびにGCCから1エーカー当たり少なくとも500人の雇用創出など、各種条件が課されている。
AP州では、2025年に入りエーザイがGCC、インドITサービス大手タタ・コンサルタンシー・サービシズおよび米国ITサービス大手コグニザントがIT/ITeSキャンパスを設立する見通しが明らかになった。また、米国IT大手グーグルも消費電力が1ギガワット(GW)のデータセンターをビシャカパトナムで設立する見通しだ。GCC設立支援大手ANSRもビシャカパトナムでグローバル・イノベーション・センターを設立する承認を州政府から得ており、今後、同州内におけるGCCの設置が活発化されると予想される。
近年、GCCの設立先としてインドが世界的にも注目を浴びている。本政策により、AP州政府は既に州内のITおよびGCCのエコシステムとしてその地位を確立しているビシャカパトナムのさらなる発展に加え、ティア2およびティア3都市の開発にも取り組んでいくという。
(白川佳奈)
(インド)
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