シンガポール、全ての公務員にAIリテラシー研修義務付け

(シンガポール)

シンガポール発

2025年09月25日

シンガポールのガン・キムヨン副首相兼貿易産業相は9月19日、全ての公務員が人工知能(AI)の特性を理解して業務に責任をもって活用できるよう、AIリテラシー研修の受講を義務付けると発表した。公務員幹部を対象にした演説で明らかにした。

ガン副首相は演説の中で、民間企業がAIを活用して競争力の向上と新たな価値を創出していると指摘。公共サービスも「AIを活用したツールを積極的に導入し、より良い行政運営とサービス提供を実現していく必要がある」と強調した。ガン副首相によると、公務員約15万人のうち約3分の1が、政府テクノロジー庁(GovTech)が公務員用に独自に開発したAIアシスタント「ペア(Pair)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を日常的に活用し、調査や文書作成業務に用いている。また、多くの公務員が、業務要件に合わせて最適化した1万6,000種類以上の「カスタムAIチャットボット」を独自に開発し、業務の自動化などを実現したという。

また、政府は2025年1月、政府省庁や民間企業などのAI関係者が集まって情報交換をするメンバー制のコワーキングスペース「ロロングAI(Lorong AI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を都心部に開設した。ガン副首相は、同スペースの開設以来、250人以上のAI関係者が参画したと言及した。

企業2,000社のAI導入を支援へ

情報通信開発庁(IMDA)は同日、「デジタル・リーダー・プログラム(DLP)」を拡充し、デジタル成熟度の高い国内企業2,000社へのAI導入を支援すると発表した(IMDAプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。IMDAは2021年にDLPを導入し、600社以上ものデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援してきた(注)。IMDAは2025年末までに、DLPの新たな支援内容の詳細を発表する予定。

(注)既存のDLPは、非情報通信技術(ICT)分野以外の企業(地元資本30%以上)で既に何らかのデジタルプロジェクトを導入済みの企業が対象。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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