東京で日本・米国中西部会の第55回日米合同会議が開催

(米国、日本)

シカゴ発

2025年09月18日

日本・米国中西部会の第55回日米合同会議が9月7日から9日にかけて、東京都千代田区の帝国ホテル東京で開催された。日本側から三日月大造・滋賀県知事や大野元裕・埼玉県知事、山本一太・群馬県知事をはじめとする地方自治体首長や、日本航空の赤坂祐二・取締役会長、キッコーマンの茂木友三郎・取締役名誉会長ら、政財界の要人が出席した。米国側からはミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事(民主党)、ネブラスカ州のジム・ピレン知事(共和党)、カンザス州のデービッド・トーランド副知事(民主党)、ジョージ・グラス駐日米国大使らが参加し、総勢約330人に上る日米双方の代表が一堂に会した。

合同会議は「イノベーションとパートナーシップが創る持続可能な未来」をテーマとし、8日に行われた開会式では、藤井比早之・外務副大臣のあいさつと、加藤明良・経済産業大臣政務官による基調講演が行われ、グローバルな課題解決に向けた日米連携の強化を呼びかけた。

最終日(9日)の第3セッション「未来のためのパートナーシップ」では、ジェトロの石黒憲彦理事長がモデレーターを務め、三菱ロジスネクストの間野裕一・代表取締役社長、キッコーマンの茂木修・代表取締役専務執行役員、ユナイテッド航空のクリストファー・アンダーソン政府渉外ディレクター、オマハ商工会議所会長兼ユニオン・パシフィック・シニアアドバイザーのベス・ホワイテッド・グレーター氏が登壇し、それぞれの視点から意見を交わした。

議論ではまず、製造や物流業界で持続可能性の確保に向けた具体的な取り組みとして、省エネルギー技術の導入やサプライチェーンの強靱(きょうじん)化が紹介された。続いて、ユナイテッド航空と全日本空輸(ANA)のアライアンス強化や、米国鉄道業界でのユニオン・パシフィックの大型買収といった事例が取り上げられ、こうした動きが日本企業にとって市場拡大やサービス改善の機会につながると指摘された。地域社会との関係構築については、キッコーマンによる地域社会への還元や、三菱ロジスネクストによる地元の雇用創出といった取り組みが共有され、企業が地域に根ざしながら持続的成長を実現する重要性が強調された。セッションを通じて「経済効率と社会的責任の両立」を軸に据えた協力の方向性が確認され、日米のパートナーシップが未来の成長に不可欠との認識があらためて共有された。

9日の閉会式で採択された共同声明では、(1)日米間の貿易・投資促進を基盤としたイノベーションの推進、(2)サプライチェーンの強靱化や脱炭素化をはじめとするグローバル課題への対応、(3)教育・人材育成を通じた次世代への投資という3つを柱に据え、相互信頼を基盤とした協力を一層深化させることが盛り込まれた。次回の第56回会議は2026年9月9日から11日にかけて、インディアナ州インディアナポリスで開催される予定となっている。

写真 開会式であいさつするネブラスカ州のピレン知事(ジェトロ撮影)

開会式であいさつするネブラスカ州のピレン知事(ジェトロ撮影)

(井上元太)

(米国、日本)

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