BMWグループ、2028年からの燃料電池車量産向け取り組みを強化

(ドイツ、オーストリア)

ミュンヘン発

2025年09月05日

ドイツ自動車大手BMWグループは9月2日、燃料電池車(FCEV)向け第3世代燃料電池システムの2028年からの量産に向けオーストリアのシュタイアー工場の増設を行い、同工場と南ドイツのミュンヘン工場でプロトタイプの生産を開始したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

BMWグループは2024年9月に第3世代燃料電池システムをトヨタ自動車との協力で共同開発する基本合意書を締結した(2024年9月18記事参照)。両社が共同開発した燃料電池システムを搭載したBMWのFCEVを2028年に量産開始する。2014年に「BMW 535iA」モデルで使われた第1世代燃料電池システムはトヨタ自動車が供給したが、2023年2月に公道走行実験を行った「BMW iX5 Hydrogen」モデルのパイロットフリートに搭載した第2世代燃料電池システムはBMWグループが開発し、燃料電池のみトヨタ自動車から調達した。

両社によると、今回の共同開発による第3世代燃料電池システムでは燃料電池に必要なスペースの約25%の削減が可能。また、高度な統合性が特徴で将来の車両アーキテクチャ(システム構造)への統合が容易だ。その結果、顧客に複数の駆動システムを提供できるようになる。加えて、共同開発したシステムでは航続距離と出力が改善され、エネルギー効率が上がるという。

BMWグループによると、現在、シュタイアー工場とミュンヘン工場で第3世代燃料電池システムのプロトタイプの生産を行っている。プロトタイプ生産では、組み立てとテスト工程以外、主に(1)商品化の可能性、(2)品質保持、(3)拡張可能性に注目している。2028年以降、同システムの量産をシュタイアー工場で行う予定。量産開始に向けて、シュタイアー工場に新たな試験装置と生産設備を増設している。

またBMWグループは、ミュンヘン工場の近くにあるランズフート工場がFCEV向けコンポーネントを生産することを、同発表に合わせて明らかにした。2026年5月末から、同工場においてFCEV専用コントロールユニット「BMW エナジー・マスター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の量産に必要な新たなハードウエアと装備の建設を開始する。同コントロールユニットは自動車に400~800ボルト(V)の電圧を供給し、高圧電池からのデータのインターフェースとなる。2026年半ばから、近隣のディンゴルフィング工場で「エナジー・マスター」のプロトタイプ生産を開始する予定。

(クラウディア・トーディ)

(ドイツ、オーストリア)

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