イタリア各地でガザ連帯のデモ、ミラノでは警察との衝突も

(イタリア、イスラエル、パレスチナ)

ミラノ発

2025年09月25日

イタリアで9月22日、パレスチナ自治区ガザ地区支援を掲げる全国的な抗議活動が行われた。イタリアの独立系労働組合(USB:Unione Sindacale di Base)の主導により、鉄道・港湾などの公共交通機関や学校、医療サービスにおけるストライキや、主要都市を含む複数都市でデモが行われた。報道によると、首都ローマでは、ローマの中央駅であるテルミニ駅に約3万人の参加者が集結してデモを行い、一部が主要道路にまで侵入した。また、ミラノ中央駅ではデモ参加者一部の約100人が暴徒化し、発煙弾を使用してガラスを割るなど、警察と衝突し、駅の入り口ゲートが封鎖される事態となった。イタリア北部のボローニャでも、高速道路などの主要道路が数時間にわたって封鎖された。

ミラノ中央駅での衝突について、ジョルジャ・メローニ首相は22日、いち早くX(旧Twitter)にコメントを掲載。「自称平和主義者などが駅を破壊し、警察と衝突している。暴力と破壊は、ガザへの連帯とは無関係で、ガザの人々の生活に何の変化ももたらさない」と厳しく批判し、デモ主催者やすべての政治勢力に対して賛同を求めた。連立与党「フォルツァ・イタリア」党首のアントニオ・タヤーニ副首相兼外務・国際協力相も同様の声明をXに発表、同じく連立与党の「同盟(Lega)」党首のマッテオ・サルビーニ副首相兼インフラ・交通相も「再発防止のため、今後損害が出た際はデモ主催者に賠償請求するべきだ」とXにコメントした。

G7加盟国では、英国、カナダ、フランスがパレスチナの国家承認を正式発表している。一方、メローニ首相は、イスラエルによるガザ地区の民間人への攻撃は容認できないという立場を表明しているが、イタリア政府は承認を見送っている。最大野党の中道左派「民主党」のエリー・シュライン党首は、即時承認を求めて政府の対応を非難してきた。

イタリアでは、9月18日に主要港湾の1つがあるラベンナで、港湾職員からの通報を受け、アレッサンドロ・バラトーニ・ラベンナ市長主導のもと、イスラエル行きの爆発物を積んだ2つのコンテナが差し止められる事態が発生した。数時間後に同港を出発したものの、同市長はエミリア・ロマーニャ州の知事らとともに、同港のターミナル運営企業に紛争地域向けの武器の輸送を停止するよう要請。これに対し、タヤーニ副首相兼外務・国際協力相は、2023年10月7日以降、イタリア製の武器はイスラエルに販売されておらず、外務・国際協力省の武器資材認可機関(UAMA)の基準に違反もしておらず、イタリア製の武器や弾薬ではない以上関与できないと反論した(「コリエラ・デラ・セラ」紙9月18日)。

(平川容子)

(イタリア、イスラエル、パレスチナ)

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