米スタンフォード大学で学生向け起業家育成プログラムを開始、シリコンバレー流デザイン思考を学ぶ

(米国)

イノベーション部スタートアップ課

2025年09月25日

ジェトロは8月25日~9月16日に、経済産業省と共催で「J-StarX グローバルなスタートアップを目指す学生コース スタンフォードコース(学生)」をスタンフォード大学ハッソ・プラットナー・インスティテュート・オブ・デザイン(dスクール)のキャンパスで開催した。本プログラムは、起業前の18歳以上の学生を対象としており、シリコンバレー流の起業家精神や「デザイン思考(注)」を学びながら、将来の事業案を具体化することを目的としている。外国企業のサンフランシスコ・シリコンバレー進出や世界市場でのスケールアップを専門に手掛けるアクセラレーター、USマーケット・アクセスセンター(USMAC)が、現地シリコンバレーにおいて講義やグループ活動、メンタリングなど実践的なプログラムを提供した。

参加者からは、「最先端技術を学ぶには米国に飛び込むしかないと決意していたので、念願の参加を実現できてうれしい」「現地でシリコンバレー流の起業家精神を学べる貴重な機会として、多くの刺激を受けたい」といった声が寄せられるなど、意欲的な姿勢が目立った。

初日には、スタンフォード大学米国アジア技術経営センターのリチャード・ダッシャー氏を講師に迎え、「日本とシリコンバレーのビジネス文化の違い」に関する講義が行われた。

学生からは、「シリコンバレー特有の失敗に寛容な文化や、商品のアピール方法を体系的に理解できた」「これまでは技術面でのアピールを優先していたが、今後は顧客にどのような価値を提供できるかを意識する必要があると感じた」といった声が出された。

写真 熱心に講義を聴く参加者たち(ジェトロ撮影)

熱心に講義を聴く参加者たち(ジェトロ撮影)

また、USMACによる実践的なメンタリングでは、4人のメンターを迎え、参加者はグループごとに分かれて自身の商品やサービスを発表した。発表の途中ではメンターから鋭い指摘が飛び交い、他の参加者からも積極的にアイデアが出されるなど、双方向性の強いセッションとなった。

参加者からは、「Why you? -なぜ顧客が自分を選ぶのかという質問に説得力をもって答える難しさを実感した」「メンタリングを通じて顧客中心思考が不足していたと気づき、ピボットの必要性も意識できた」との声が上がった。また、「メンターだけでなく、経験豊富な参加者同士のアドバイスも非常に参考になり、有意義な時間だった」との感想もあった。

写真 メンタリングの様子(ジェトロ撮影)

メンタリングの様子(ジェトロ撮影)

同プログラムを通して、シリコンバレーとスタンフォード大学という世界的なイノベーションの拠点で得た経験や気づきが、日本の未来のイノベーターたちを通じて広がることで、日本のスタートアップ企業のさらなる可能性と発展に期待が高まる。

(注)ユーザー視点に立って潜在的なニーズを探り、解決策を得る思考方法。イノベーションを生み出すために効果的な方法として、スタンフォード大学dスクールで取り入れられている。

(石黒真椰子)

(米国)

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