食品混入不純物(金属汚染物質含有量)に関する改正規則施行、新たに27分類の許容最大基準値を設定

(香港)

香港発

2025年09月18日

香港で「食品混入不純物(金属汚染物質含有量)規則(Cap.132V)」の改正規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが9月5日に施行された。施行日から2027年3月5日までの18カ月間を猶予期間としており、同期間の満了後の2027年3月6日以降は、全ての食品が改正規則への準拠を求められる。

この改正では、金属汚染物質含有量の許容最大基準値を設定する食品分類数について、前回の2018年改正版(注1)の144分類から171分類に増えた。分類数の増加に伴い、カドミウムではシイタケなど食用キノコ類(計6分類)の同基準値が、メチル水銀ではマグロ類など魚類(計6分類)の同基準値がそれぞれ事実上緩和された。

他方で、同基準値が事実上厳格化された分類としては、対象金属のカドミウムについて、ココアパウダー、チョコレート(計4分類)、対象金属の鉛について、グレープジュース、マッシュルーム、シイタケ、ヒラタケ、乳幼児用穀類加工品、乳幼児用補完食、あめ菓子、ソフトブラウンシュガー、白砂糖および精製糖が挙げられる。

加えて、従来分類されている品目のうち、マンゴーチャツネ、牛の食用内臓、豚の食用内臓、家きんの食用内臓、ピータン、食用油脂類、ファットスプレッドおよびブレンデッドスプレッド類、塩沼の塩以外の食塩、その他の食用キノコの9分類では、鉛の同基準値が強化された(添付資料表参照)。

同改正の背景について、香港特別行政区政府食物環境衛生署は、国際的な基準であるコーデックス規格(注2)や、中国本土を含む主要な輸入先が採用する関連基準、香港域内の食習慣、リスク評価などを考慮して制定したと説明している。また、同署の食品安全センターが実施する定期的な食品監視プログラム(注3)などの結果を踏まえると、香港の現地市場に流通する食品に含まれる金属汚染物質のレベルは、この改正で規定されている許容最大基準値をおおむね満たしていることから、香港の食品供給全体に影響を与える可能性は低いとの見解を示している。

(注1)2018年の改正(2019年11月1日施行)については、ジェトロ「ビジネス関連法 香港『2018年食品混入不純物(金属汚染物質含有量)(改正)規則』(仮訳)」を参照。

(注2)国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同で設立した政府間組織のコーデックス委員会が定める食品の安全性や品質に関する国際的な基準。

(注3)香港政府は食品監視プログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとして、年間約6万5,000件の食品サンプルに対して、安全検査を実施。年間を通じて、輸入、卸売り、小売・飲食店などの各段階で抜き打ち検査を行っている。

(梁鎮海)

(香港)

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