電力不足が解消し、安定供給へ
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルグ発
2025年09月03日
南アフリカ共和国政府は、当地の冬季(5~8月ごろ)の終わりに近い8月24日、電力供給は安定を保っていると発表した。電力公社エスコムが持続的な技術改善を続け、2025度(注)、電力需要の97%以上を供給している。予想外の発電停止(unplanned outages)は7,265メガワット(MW)となり、2020年12月11日以来初めて8,000MWを下回ったことをたたえた。2025年5月15日以降、計画停電も発生しておらず、4月1日から8月21日までの期間に記録された停電時間は26時間にとどまった。さらなる安定性を確保するため、8月25日の夕方のピーク時とその後1週間を通して、合計4,850MWの発電を復旧させる。
南アでは、2022~2023年に電力不足が深刻化し、計画停電が頻発していたため、日系企業にとっても悩みの種だった(2022年11月25日記事参照、2023年1月30日記事参照)。しかし、2024年には改善傾向が示され、2025年も安定した供給が維持されている(2024年5月9日記事参照)。
さらに、エスコムは8月19日に、初の再生可能エネルギー取引プログラムを実施することを発表した。競争力のある将来のエネルギー産業を促進するという同社の戦略目標の一環として、2040年に向けて石炭火力発電からクリーンエネルギーへの移行を目指している。商業施設などの大規模電力ユーザーが、長期電力購入契約(PPA)を通じて、エスコムが所有する再生可能エネルギー施設から291MWの太陽光発電による電力を調達する計画だ。最も早いプロジェクトは2027年12月に商業運転を開始する予定。
一方で、電力自由化の遅れ、発電所などの設備の老朽化、エスコム内の汚職、電線網の窃盗など、さまざまな課題を抱えているのも事実だ。2025年の後半以降も、安定した電力供給が維持されるか注目が集まっている。
(注)南アの2025年度は2025年4月1日~2026年3月31日。
(多崎央)
(南アフリカ共和国)
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